2002/06/16 アイルランドに思う
先日こんなことが。
イギリス人の友人アンドリュー(リーズ生まれのイングランド人)が、日本に来ていて、一緒に大画面でイングランドvsスウェーデンを見ようと、新宿のアイリッシュパブ(ココがミソ)へ。大勢のアイルランド人がいて、異国の地で会う同胞と普段の話をしつつ、当然サッカー談義もするわけで。みんなアイルランドから来たのかと思ったが、日本で働いてたり、アメリカで働いてたり、結構バラバラ。
前の日のアイルランドvsカメルーンは、1−1の引き分け。「あのポストに当たったロビー・キーンのシュートは凄かった」と悔しがる人もいたが、みんな勝ち点1をゲットしたことでリラックス模様。そんな話と、その日のイングランドの初戦の話で昼間からとにかくビール。
アイルランドは、自国にプロリーグが無く、ほとんどの選手がイングランドでプレーをしているだけあって、やっぱイングランドのことは気になるわけですな。
しかしながら、試合が始まってみると、ものの見事に全員スウェーデンを応援! ベッカムがボールを持てば大ブーイング、スウェーデンが追いつけば大歓声という具合で、アンドリュー、キミには悪いことをした。あはは。
隣国とは言っても、かつての民族対立でケルト人の血が騒ぐのか、やはりイングランドは憎たらしい。そして、自国選手が結局活躍の場をイングランドに求めていることは、なおさらもどかしひ、と。
一日そのパブにいて、色んなアイルランド人と話していて感じたのは、そのにじみ出る愛国心の強さ。良し悪しは別として、あのいかにも韓国激愛!みたいなのと違うのよ。休暇を取って、W杯の応援に来る人の何と多い事か。そして、自分の心の多くの部分に、フットボールが根付いているアイルランドという国を羨ましく思うわけで。
でもって今日!
昨日のパラグアイvsドイツのガラガラのスタンドを見て、やるせない気分になっていた韓国ラウンド。自分の国さえ良ければいいのか、そのウェーブを止めろ、そのコールを止めろ、と…。 し・か・し!今日のアイルランドvsスペインは、それを吹き飛ばした、完全に。
スタンドを埋めるアイルランド人。試合中途絶えない応援。学生時代にダブリンに行ったことあったし、こないだのパブでの交流もあって、のっけから完全アイルランドびいきで観戦。サッサと1点取られ、後半半ばのPKも外す、おいおい。それでも、みんながひたむきにプレー、誰も下を向かない。サポーターの応援?選手どころか、テレビ視聴者にさえ訴えかけて来ますわ。
そして後半終了寸前、イエロはユニをもぎ取り、アイルランドは1点をもぎ取る。ベンチではなく、サポーターのいるスタンドに駆け寄るロビー・キーン。迎えるサポーター。泣けますわ、ほんま。井筒監督見てますか?サッカー自体は普通なんですけど。延長に入り、両チーム完璧に脚が動かん。それでも、PK戦ねらいなどせず、果敢に挑む、挑む、挑む!ああ、ワールドカップだ。今大会で初めて感じた。
アイルランドは結局PKで敗れはした。大会の「華」的には、ラウールもいるし、スペインが上がったほうがええよ、たしかに。しかし、この試合は、サッカーの楽しさも、怖さも、最後は「運」までも教えてくれるある意味、教科書みたいな試合だった。日本人が、この試合から何かを感じ取る、そんな土壌はまだなかったな。
そんな感じでドイツ戦辺りから、このアイルランドの魂に打たれ、本日、完全にKO。ロイ・キーンがいないことなんて、誰も口にせず。団結力がそれを忘れさせるわけで。
おとといの日本戦の後、ちょっと、いや、相当変になってる日本を見ながら、どのくらいの人がフットボールを観ることが好きになっているのか、そんなことを考えてもうた。
せっかくのワールドカップ、日本戦だけじゃなくてもっと色んな試合で、色んな感想が出てくるといいと思うし、サッカー観る楽しさを感じたら、自分が心底好きになれるクラブを見つられたら、日本にも、日本なりのフットボール文化が出てくるんじゃないかな、と右手力こぶながらに思うわけで。日本の「勝った」「負けた」の騒ぎは仕方ないにしても、その次がなぜ「ベッカム様」なんだ?
日本じゃ、Jリーグの試合の前に、サポーター同士が集まって、その日の試合について、ああだこうだと言い合う、そんな光景も、そんな場すらも、まだまだ少ないように思う。
本当は、アイルランド人を羨ましいなんて思いたくない。ボクは、浦和レッズのファン、実は。W杯の後、良かったら一度、駒場スタジアムへ。いや、是非。最高よ、ホンマ。自分が応援したいと思うクラブを見つけてみてくれれば…。そしてそのチームを日々支える悦びにハマってくれれば…。
アイルランドを見ながら、そう考え込んでてしまったのでした。
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