'03/5/15  コナンの夢を見た
 「僕、昨日、夢見たよ。」
 今朝、長男が、唐突にそう言った。
 確か、昨夜は、夜半前に、大泣きしたのではなかったっけ・・・
 怖い夢を見たと思ったのだが。
 笑うと三日月型になる目で、嬉しそうに続ける。
 「コナン君の夢を見たんだ〜。かっこよかったんだ!」
 へぇ〜と思いつつ、私も口走っていた。
 「お母さんも、昨夜は、コナン君の夢見たよ。」
 意外そうな顔で、食らいつく長男。
 「どんな夢見たの?」
 「コナン君になって、悪い奴らに追いかけ回される夢・・・。」
 そう、今朝は、起きると、体がぐったりしていた。
 「『迷宮の十字路』の夢でも見たんじゃない?」
 夫の言葉に、どきっとしながら、できるだけ平静を装い、
 「いやいや、なんか、駅みたいなところに逃げ込んで、ひたすら、逃げ続けるっていう夢だった。」
 なんて、別に、何が何でも隠し立てするようなことでもないのだけれど。
 やっぱり、その・・・照れ恥ずかしい。
 でも、話自体、とても非現実な設定であっても、彼が小さくなること以外は、非科学的なものは殆どないリアルさを持っている。
 そして、この小さな体で逃げまくるという夢を見たことで、彼や、彼女の心情を思い知ってしまった。
 あれは・・・辛い。
 
 とにかく、何が辛いって、小さいが故に、大人の足にかかると、すぐ追いつかれてしまうのだ。
 しかも、多勢に無勢。
 スケボーも使ってるのだけれど、全然、お話にならない。
 これで、ちょっと複雑な造りをした、ごく普通の駅、そう、例えば、東京駅八重洲口周辺部分だけのような場所へ、逃げ込むとする。
 木の葉は森に・・・の要領で、人混みに紛れることで、追っ手をかわそうとしても、単なる人混みと、全速力で逃げる足取りは、全然違うから、あまり隠したうちに入らない。
 その上、相手は、大勢いるから、何食わぬ顔して、紛れ込んでるつもりでも、見つかれば、まず、後がない。
 そして、次々と目の前に展開される、構内の様子と、追っ手の動きを先まで捉えて予測して、どこへ逃げるのが、一番効果的か、判断しなければならない。
 しかも、隠れ込めばよいというものではなく、万が一の時、するりと逃げ出せなくてはいけない。
 頭脳と体力を大量に消耗する。
 電車に乗り込めたとしても、追っ手が一人でも同乗すれば、見つかってしまう可能性があるし、出発間際に飛び出しても、それから逃げ場を確保するのは、かなり難しい。
 小五郎おじさんの調子の良さで、彼らを家に迎え入れてしまったものの、事情を知らない蘭ちゃんにも、危害が加わることがなかったのが、幸いだったようです。
 ・・・なぜか、毛利探偵事務所ではなく、毛利整体・整骨院だったような。

 これで、あの坊主は、反撃を試みる・・・
 改めて、頭が下がってしまった一夜だった。