※ご注意です※
以下はSPNのS×Dのパロディ小説です。
意味のわからない方、興味のない方は、
ご覧にならないようにお願い申し上げます。

※R-18要素を含みます※

【 雷鳴が聞こえる前に 】
【2】










『ディーン…ディーン?』

 大丈夫?と、サムが上から覗き込んでいる。

 自分がまた意識を飛ばしてしまったのだと気付いて、羞恥と疲労に顔を歪めて舌打ちをした。

『水飲む?』

 頷くと、冷えたボトルが渡される。

 半分ほど飲み終えてサムに返すと、残りをぐびり、と飲み干す喉仏の動きが見えて、戸惑った。

 こんなにも、服を着ている時と着ていない時の印象が違う奴って、少ないんじゃないだろうか。

 自分も、勿論鍛えてはいるが、兄弟でも体質が違うのか、サムの鋼のようなたくましさとはどこかが違う。

 童顔で一見真面目な好青年風に見えるくせに、服を脱ぐと驚く程野生的に見えるなんてー女性からしたら、たまらないだろう。

 サムを好きになる女性は、男を見る目があるんだろうな、と思う。

 大体、サムは自分から声をかけてまわる事なんてしない。女性が、サムに秋波をかけていくのを口だけ笑顔を作ってそつなくかわしていくだけなのだが―――


まじまじと見つめていた自分に気付いて、思わず目を逸らすと、ふっと頬に触れられる。

『…ディーン?今、エッチなこと考えたでしょ』

驚いてなっ、何言ってんだ!と、手を振り払おうとする。ぎゅっと大きな手に握り込まれる。

『誤魔化してもダメ。なに…?言ってよ。僕の身体見て…また、したくなった、とか?』

頬にチュ、チュっと口付けながら、抱き込むようにしてサムが睦言のように囁く。

馬鹿言ってんじゃねえ、三回もヤッといて、俺を殺す気か!!と反論すると、サムはにっこりと笑って対抗する。

『違うよ、三回イったのはディーンだけ。一回目は、ゆびだけでイッちゃったから…だから僕、二回しかイってない』

それはお前がだめだいっちまうヤメロって言ってるのに奥をぎゅうぎゅう押してめちゃくちゃ抜き差しするからだ!と思っていると、

もう少し、したいな、と囁いて口付けるサムに、反論する前に言葉を飲み込まれる。

全身が性感帯になったみたいに、サムに触れられて敏感になった身体に、圧し掛かって擦り上げる様に揺れながら、サムは深い口づけを繰り返す。

熱い身体で乗られて、物理的にでなく、身動きがとれなくなる。

抵抗しようとした手は、いつの間にか引き寄せる様にサムの背中を髪をかき回している。サムの熱いのが腿に触れて、腹が震える。

熱い舌で口腔をざらりと舐め上げられて、ふっとサムの熱いソレを含まされた時の事を思い出してぞくりと産毛が逆立った。

最後にちゅっと口づけて、離れた唇を、指が辿る。ぞくそくっと震えが走る。
サムの手管に、こんなにも翻弄される自分が憎い。

俺がコロコロ這ってた子供の頃から、青春を捧げて必死こいて育ててやったというのに。こんなこと、教えた覚えはなかったのに。


『ディーン、好きだよ』


囁かれて、…bicth!と悪態をつきながら重い身体を起こしてゆっくりとサムの股間で待っているモノに顔を伏せる。

全部含むことなんて絶対にできやしないから。先端に吸い付いて、むちゃくちゃに舐め回し、脈打つ幹の裏筋を手で擦り上げる。

優しく後頭部を撫でられて、胸の奥がしめつけられる程愛しくなる。

気持ちいい、と言われて、行為の息苦しさとは裏腹に、顔がほほ笑む。

サム、サミィ……

こんな事は、長く続かない。こんな―微温湯の中で柔らかく甘やかし合うような優しい時間は。

そう思いながらも、きっと、この後もう一度抱きあってしまうんだろうな、と疲れ切った身体に燻ぶる欲を感じながら、湧き上がる愛しさと終わりの見えない幸福感に目を閉じた。





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Remainder 7nd day
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 ハッと一瞬落下するような不快な感触で、ディーンは目覚めた。

瞬時に身構え、周りを確認する。ここは、見慣れた、―インパラの、運転席だ。

懐を確認する。銃もある。

落ち着いて自分の身形をよく見ると、さっきまでの豪雨の痕跡はなにもない。着ていた服すら違っている。

―サムは?サムはどこだ、と思った瞬間に、あの豪雨のなかでの出来事を思い出した。

サムは、ほぼ完全に、心臓が止まっていた。不安感にざわざわと胸の中が揺れ始める。

あの男――




『サムを助けてやる、その代りに―――』

車外に目をやると、そこが街中だということに気が付く。

しかも、道を挟んだ向かいにあるレンガ造りの建物に、どこかディーンは見覚えがあった。

そこは、二年半前、行方が分からなくなった父親を一緒に捜してくれとディーンがサムを迎えにきたアパートだと気付く。

ジェシカとサムが、一緒に暮らしていた――――

どうしたものかと考え込んでいると、一階のドアからサムが駆け出してくる。



―――サム!!
ディーンの心臓がどくんと脈打った。
深く安堵の息を吐き、手をギュッと握りしめる。
生きている。元気そうだ。身体もどこも怪我していない。あぁ、良かった…

馬鹿みたいに目を開けて道の向こうに立つ長身の無事を確認する。

そんなディーンに気付くはずもなく、三階の窓から手を振るジェシカにサムが手を振り返す。

ジェシカも、生きている。
ディーンは男の言った言葉を思い出す。
サムも、心なしか現在より少し幼く見える。

この世界は、もしかして―――二年半前、なのだろうか?


 脳を働かせながら、サムを目で追う。

 だが、ジェシカが顔をひっこめた後、勢いよくスタートしたサムの車は、そこの角も曲がらないうちに、何故か不自然な挙動で止まってしまった。

 何度もセルを掛け直すが、うんともすんとも言わない。

 shit!とバン、とハンドルを叩いて顔を伏せる。
時計を見て顔をしかめる。

 それを見て、ディーンを進め、サムの後ろにつけて、ヘイ!と窓を開けて声を掛けてみた。

あの男の言ったことが本当なら、サムは―ディーンの記憶を、無くしているのかもしれない。

半信半疑のまま、困ったように車から降りて来たサムを見つめる。

サムは、申し訳なさそうな顔で車を差した。

「すいません、故障みたいで…申し訳ないけど、避けていってくれますか?」

全く見知らぬ他人に説明するみたいに。

丁寧で、他人行儀な言い方で。

サムはディーンに向かって困惑した微笑を浮かべながら言った。


その衝撃を押し殺しながら、ディーンは前の車に目をやった。

「そいつは大変だな。脇に寄せとかないとぶつけられちまうぜ?」

良かったら手伝うけど、というと、ありがとう!頼めるかな?と好青年らしい爽やかさでにっこりと笑う。

他人から見たサムは、こんなに真面目そうでいい人そうなんだな、とぼんやり思う。

そうだ、サムには昔から人に好感を抱かせる素質があった。

―俺にはあんなに我儘でガンコで横暴なくせに。



胸の中で思いながら、車を降りて、サムが運転席に乗ってサイドブレーキを外し、ハンドルを切った車を、ゆっくりと押して路肩に寄せてやる。

これなら路上駐車でレッカーされることはあっても、ぶつけられることはないだろう。

「ありがとう!本当に助かったよ。あぁ、もう時間が…お礼はこの次、ぜひ」
といって僕はそこのアパートの三階に住んでるんだ、と、軽く額の汗を拭くディーンに、少し焦りながらもこれまた感謝のオーラ目いっぱいのサムが近付く。

「礼なんていいけどさ。…急いでるのに、車がコレじゃ困るだろ?何処に行くんだ?」

そっけなく助手席を差しながら言うと、サムの顔がぱっと晴れる。

「スタンフォードの法科大学院に!今日は面接で、どうしても遅れられないんだ」

大きな体を縮めて、サムがインパラのナビに乗り込む。

―幾度となく乗った―運転したことだって何度もある、このクルマを、珍しそうにしげしげと眺める。

「すごい車だね。君の?あぁ、僕はサム・ウィンチェスター。今スタンフォードに通ってる」

「…奇遇だな。俺もウィンチェスターだ。ディーン・ウィンチェスター。今は、家業を手伝ってる」

わお、本当に!?となびでサムがディーンを方を向く。

軽く口元で笑って、ディーンは頷き返した。

「同じ名字の人に、家族以外で初めて会ったよ!」

俺が、その家族なのに、と複雑な気持ちで考えながら、ディーンは明るい学園都市を飛ばし始めた。




正門前に辿り着いてインパラを停める。

サムはディーンをじっと見て心からの声で口を開いた。

「本当にありがとう!!君のおかげで面接に十分間に合うよ。」

「気にすんな。頑張ってこいよ。…今日、この近くで用事があるんだ。もし良かったら帰りも乗せてってやるぜ?…車の修理も仕事でやったことがあるから、場合によっちゃ直してやれるかもしれないし」
携帯ナンバーをなぐり書きしたメモを渡しながら、思う。

こんなの超不自然だ。しかも親切過ぎる。女の子へならともかく、こんなデカい男に対して、おかしいだろオイ!

自身の内心の叫びを聞きながら、それでもどうにかして自分を忘れたサムと渡りをつけなくては、とディーンは言った。

それを聞いたサムは、きょとんとしてから少し照れたように笑った。

「…君は本当にいい人なんだね。ありがとう、ディーン」

ディーン、と呼んだその声は、聞き慣れたサムの声なのに。

えーと僕の番号は…あっ、これこれ、と小さい名刺のような紙を差し出す。

サムの番号は、電話帳にも勿論入っているし、何かあった時の為にそらでも覚えている。

知ってる、とも言えずに、ディーンは、その紙を受け取った。




面接が終わったら電話させてもらうよ、と言って、手を振ってサムは車から降りて行った。

なのに、呼んだ名前は、今日初めて出会った、通りすがりの親切なディーンでしかなくて。

サムの兄貴で、過酷な運命を共に駆け抜けた相棒で、そして――身体を繋いで愛を紡いだ相手でもある、ディーンではなかった。



「ほんとに…忘れられちまったんだな…」

ぽつり、とディーンは呟いた。

哀しいとか、むかつくとかではなくて、なんというか――寄る辺ない身の上になった感じがした。

接岸していた岸からきつく結んでいたロープが離れてしまった、船のように。気持ちが揺らいだ。

ぶるぶるっ、と頭を振る。

ぼんやりしている暇はない。



サムを助けてくれた、あの男が言った言葉が本当なら。

自分には―――あと、7日間しか、残されていないのだから。













【3へ】
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いろいろ見返してみれば見るほど、兄弟の仲のよさに圧倒されてしまいます…
どんな同人誌より、原作&現実のほうがナカヨシだなんてありえない!(笑)

そんな相手から忘れられちゃったら、かなりつらいだろうなーと。。。
うちのおにいちゃんヲトメだから泣いちゃうかもしれません。。。(スイマセン(汗)




ぶらうざもどるでおねがいしますー