※ご注意です※
以下はSPNのS×Dのパロディ小説です。
意味のわからない方、興味のない方は、
ご覧にならないようにお願い申し上げます。

※R-18要素を含みます※

【 雷鳴が聞こえる前に 】
【1】










先が良く見えないほどの激しい豪雨がバシャバシャと強く地面を叩き、深い森の梢を揺らしている。

真っ暗な中に時折稲妻が鳴り響き、青い光がフラッシュする。



ディーンは叫んでいた。ただ、サムの名前を。

二人は、狩りの途中で魔物を追い詰めるため、二手に分かれて前後から近付いていっていた。

先に敵を追い詰めたディーンが、無事に魔物を倒した瞬間、激しい轟きと共にほんの近くの木に爆音と共に激しい落雷が直撃した。

空気が震えるほどのそれに、相当の樹齢を誇っていたのだろう老木は、見るも無残にその幹を割られていた。


ぷすぷすという音と共に、炎が上がる。
だが、この雨の勢いでは、すぐに鎮火するだろう。

不意にサムが心配になり、魔物の絶命を確認してから、雨風にかき消されそうになりながらも名前を呼びはじめる。


答えが返らないことを不安に思い、ディーンは走り出した。

それほど距離のないところで、唐突に心臓が止まりそうになる。

サムは―この豪雨の中、四肢を投げ出してぐったりと倒れていた。



―心臓が動いていない。

落雷の余波を受けたのではないかと直感したディーンがとっさに当てた手には、どこに触れてもサムの鼓動は返らなかった。

すぐさま銃を投げ出し、人工呼吸と心臓マッサージを繰り返す。
幼い頃からの生活上、必須事項として父から様々の応急救護の方法は学んでいた。

だが、ディーンがどれほど的確にそれを行っても、それを一緒に学んだサムの心臓は動き出す事はなかった。

運悪く魔物を追って入ってきたここは深い森の中で、911にコールしてとしてもどのくらいかかるのか。インパラで病院に向かっても、おそらく1時間以上はかかるだろう。それでは到底間に合わない。

ー直感で、もう間に合わない事が、ディーンにはわかっていた。

だけれども、諦められるわけなどなかった。



サムの名前を呼ぶ。頬を手で包み、ひたすらに叫ぶ。


戻れ、と。


まだお前は死ぬ筈じゃない、サム、サミィ、頼む。

必死のディーンの声が聞こえる事もなく、サムの身体はは雨に打たれたまま体温を徐々に失っていった。

どうしようもなくなってディーンは首を振りながら、必死にぐったりとしたサムを抱き締めた。

サムが冷たくなってしまう。

サムを助けられない無力な自分を殺したいほど憎いと思った。



無意識のまま、ディーンは喘ぐように叫んでいた。

頼む、何でもする、という慟哭が深い夜の森に響き渡って消える。

誰か、サムを助けてくれ――――、と。






 不意に、ずっと遠くでゴロゴロと不愉快な音を鳴らしていた雷が、止んだ。

動かなくなったサムをかき抱いて必死に暖めるディーンの前に、気が付くと老人が現れた。

悪魔か、死神か。


こんな森の奥で上等そうなスーツに帽子を着込んだ60代の男が、この豪雨の中に一滴の濡れもなく現れる事が、この男が普通の人間ではない事を告げていた。


だが、誰でも良かった。サムを助けてくれるのなら。

男は、黒い大きな蝙蝠傘をたたんで杖のように持っていた。




―そんなに願うのならサムを助けてやろう、と男は囁く。

―腕でも足でも目でも何でも持って行け。

その代わりサムを、と。ディーンは身も世もなく男に縋る。

いいや、と悪魔のような男は楽しそうな声で言う。



もらうのは―記憶だ。



記憶?とディーンはオウム返しに問い返す。


もらうのは、サムの中にある、お前との時間だ。

助かったサムは、お前のことを忘れる。

サムの命を救ったお前を。お前から受けた愛を。お前への思いを。

この世からお前の存在だけを、すべて忘れ去ってしまう。





生き返ったサムが、お前を思い出す確率は、限りなく無いに等しい。

だが、思い出さなければ、サムが生き返った一週間後に
お前の命をもらう。

―灯したサムの命の火の代わりに。




簡単なことだ。どうにかして、7日間の間に思い出させればいい。そうすれば何も奪われること無く、
二人とも無事に生き残れることが出来る。

0に近い確率だといいながら、悪魔は簡単だといい笑う。
涙に濡れたディーンの目に、笑う悪魔が映る。
それでも―良いのか、と悪魔は問うた。

躊躇いはしなかった。

それでいい、サムを助けてくれと力無く倒れたサムを抱きしめたままディーンは願った。

悪魔の顔から、笑いが消えたような気がした。


―ではお前達を戻してやろう。

サムが望んでいた、安全で、平穏で、そしてつまらない日常に。

死んだ恋人が、生きていた時間まで。



―そして、お前は忘れ去られる。
可哀想なディーン。



パチン、という音とともに遠くなる声は、何処かで聞いたことがあるような気がした。





【2へ】
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もういま兄弟のお話がかきたくてかきたくてどうしようもないのでしたー
アンデルセンの人魚姫をモトネタにしたお話で次の本にしよーと思っている話なのですが、
とりあえずサイトで掲載したらガツガツまとまるかなーと。。。

あ、人魚姫はもちろんディーンですから!!!(爆
サミィは王子様です(笑

毎日うぃんちぇすたー兄弟ばんざい状態です!!!



早かったら9/28のコミックシティで出てしまうかもです。。。スペースは別ジャンルなのですが(汗)




ぶらうざもどるでおねがいしますー