※ご注意です※
以下はja/jeの妄想小説です。
意味のわからない方、興味のない方は、
ご覧にならないようにお願い申し上げます。

※R-18要素を含みます※

【 恋に落ちて 】
【4 ver.jen】












 言うつもりの無い言葉だった。


「……お前………酷いよ……」


 違う、お前は、酷くなんかない。

 本気になった、俺が馬鹿だっただけ。


 熱烈に仲の良い彼女がいることは嫌と言うほど理解していた。

 何度も会った事があるし、一緒に食事した事も、イベントに一緒に参加した事まであった。

 空き時間にトレーラーの中で一緒にDVDを見ていた時、初めてキスされた時も、そのあと恋人同士のように、二人きりになるたびに幾度もそれを繰り返した時でさえ。

ジャレッドは彼女とは別れようとする素振りを少しも見せなかった。



「彼女と……いつかは、そうなるんだろうなって、思ってた……だけど」


 分かってた。

 丸一日とはいえなくとも、少しでも休みがとれそうなときには彼女がやってくるし、人前でも躊躇無くキスをするし、イベントには時間が空けば必ず同伴する。

 そんな様子を感じていれば、二人きりの時にどれだけ熱心に口付けられようとも、自分の方が遊びなのだろうということくらいは分かる筈だ。

 ―筈、だった。なのに。
 
「………何度も……お前、俺に…キス、したじゃないか……ッ」


 俺は、好きになってしまったんだ。キスされて、お前を。
 たぶん、今までに感じたことの無いくらいこころの深くで。


 理不尽な言い分でジャレッドを責めながら、俺は彼に惚れてしまった自分自身を責めていた。

 自分から好きだなんて言えるわけも無かった。

 お前より年上でキャリアの面でもお前に遅れをとってる。そんな事気にならないくらい自然に仲良くなれて、人見知りの俺にはこんなふうな共演者は初めてで。

 嬉しくて、お前に興味が湧いて、毎日の撮影がキツいながらも物凄く充実していた。

 彼からの評価がプロデューサーからのそれよりも気になって、彼と毎日会う度に、馬鹿みたいに胸が高鳴った。

 お前に初めて、冗談でなく抱き竦められた時。男同士だとか、そんなことは全く思い浮かばなかった。

大きな手で引き寄せられた腰がただ熱かった。


「抱き締めたり……触ったりするから、………おれ、は……」


 違う、お前の真剣な瞳の色に、どうか抱き締めて欲しいと願ったのも、熱くなった腰を擦り付けられて尻たぶを掴まれたのも、きっと俺が望んだからだ。

 お前は、俺の願いを叶えてくれただけ。


 堪えていたのに、涙が零れた。嗚咽を我慢して必死に息を殺す。

 あんなに聞きたかったジャレッドの声なのに、沈黙してしまったのは、俺のせい。

 どうにかしゃくりあげを抑えて、なるたけ冷静に聞こえるように、自分を叱咤する。

 謝らなければ。悪いのはジャレッドじゃない。

 悪いのは勝手に彼を好きになって、彼に期待して――そして勝手に裏切られた、俺のほうだ。


 そう思ったのに、ようやく口を開いた時に出たことばは。



『……しばらく、お前の顔を見たく、ない』


 違う、そうじゃない。今すぐにでも飛んでいって会いたい、顔を見てたわいもない話をしてじゃれあいたい、だけど。

 こんな醜い俺を見られたくは無い。



 一緒に作品をアピールして人前に立つイベントなんかに、今の俺が出られるはずも無かった。


「……ごめん」

 必死に嗚咽を噛み殺す。
 電話の向こうの彼は、こんなことを言った俺をどんな風に思っただろう。考えたくなかった。

「…シーズン4の、撮影が始まったら、…その時には、ちゃんといつもどおりの顔で、…仕事をするから。」


 言い訳がましく告げて、沈黙したままの彼の反論を聞かないまま一方的に通話を切る。

 途端に、どっと涙が溢れた。


―本当に、馬鹿だ。

 彼のことを心から思っているのなら、心から婚約を祝って、想いを隠し通したまま祝杯をあげてやればよかったのだ。

 そうすれば、これからも変わらずに親しい友人として側にいられたかもしれないのに。

 次にどんな顔をして彼に会えばいいというのだろう。


 海外でのプロモーションを終えて今取り掛かっている映画の撮影場所近くのホテルに戻ってきたばかりで、俺は酷く疲れていた。
 そんな時に婚約の話を聞いて、目の前が真っ暗になっていたところへ、いつもと変わらない声でのんきに電話を掛けてきたあいつが、愛しさのあまり憎らしかった。

―新シーズンで彼に会う日のことどころか、明日どうやって起き上がったらいいのかすら、今の俺にはわからなかった。












【5へ】
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続いちゃってごめんなさい。。。。

どうしてもじぇんさん側をかきたく…(汗)



ぶらうざもどるでおねがいしますー