※ご注意です※
以下はja/jeの妄想小説です。
意味のわからない方、興味のない方は、
ご覧にならないようにお願い申し上げます。

※R-18要素を含みます※

【 恋に落ちて 】
【2】












 彼の部屋のインターホンを押して、しばらくすると、カチャリと小さな音がして、驚いた様子のジェンセンの顔が覗いた。

「お前……どうして、ここに……」

 呆然としている彼に頷いて、押し退けるようにして部屋に入る。

 マネージャーに聞くと、彼はオーストラリアのイベントに出て現地でのプロモーション活動を終えた後、昨日帰ってきたばかりで、今日まではオフだから出かけていなければホテルにいる筈だ、と。

 空港から直行したホテルの部屋で、マネージャーから聞いたルームナンバーの部屋を訪ねた。

 ずかずかと部屋に入り込む。部屋は高層階のツインのジュニアスイートルームだった。

「…彼女は?」

 オーストラリアに同行した彼女はどうしたのかと聞くと、あぁ、と俯いて答える。

「仕事があるから、って昨日空港で別れた……それより、お前…」

 戸惑ったような顔をして問い掛ける彼の顔を見ているうちに、自分が何をしにこんなところまで来たのかわからなくなってきた。

 ―自分だって、彼女同伴でイベントに参加してきたくせに。

 僕のことだけ糾弾するなんて。

 そんな風に内心で憤慨する僕をどう思ったのか、ジェンセンが困ったような顔をして、軽く首をかしげて見上げてきた。

 彼は、最後に会った時から、少し痩せたように思えた。

 途端にどくんと心臓が強く脈打ち、身体が勝手に彼に近付く。

 視界の中で彼が大きく目を見開き、そしてゆっくりと閉じるのをただ人事のように眺めていた。

 大股で近付き、救い上げるように抱き締めて口付ける。

 ふっくらとした唇が、僕のキスを受け止める。―気持ちがいい。

 夢中で唇を吸い上げ、割入って舌を入り込ませる。彼の肉厚な舌と絡ませて軽く噛むとびくんと腕の中の身体が震えた。

 
 ―ぴったりだ。

 何処も彼処も、僕たちはぴったりだと思った。
隣にいるのが、いつの間にか当たり前に思えた。

 会話も趣味も、演技の掛け合いのタイミングも、食べ物の好みでさえ。

 生まれる前に失った欠けらを見つけた時みたいに、僕たちは互いにぴったりとはまりあった。


 僕のトレーラーで天気待ちをしている時に、少し眠そうな顔をしたジェンセンの頬に付いた睫毛をとってあげたときに、お礼を言った彼と目が合った時に。

 吸い込まれるようにして口付けていた。

 理由なんて無かった。

 そうするべきだとしか思えなかったからだった。


 その時はすぐに撮影がはじまって、それだけで終わったけれど。

 そのあまりの快感に、二人きりになると、僕は事あるごとに彼に口付けた。

 身体中に電流が走るような、こんなキスを僕は知らなかった。
 人並みに恋愛もしてきたし、そこそこ経験はあるほうだと思う。だけど。
 それが薄っぺらな表面だけのものだったということに、彼に触れてはじめて気付いた。

 彼の全てを知りたかった。彼を独占して、披いて侵食して、僕だけのものにしておきたかった。
 だけど彼は俳優で。これから世界に向かって駆け出していくべき才能をもっているのが僕には分かった。

 矛盾する気持ちの中で、それを彼にぶつけるようにして、僕は彼の唇を貪った。

 彼は驚いたような顔で、そして静かに僕を受け入れてくれた。
 キスだけでは足りなくなり、抱き締めた彼の背中を撫で擦り、尻たぶを掴んで揉んだ。

 彼の身体に触れる事は、びっくりするぐらい気持ちがよかった。

 服の中の肌に触れたら、どのくらい気持ちがいいのだろうか。

 そんな風に考えながら、驚いたように身を竦める彼の、前に自分の前をぐりっと押し当てて自分の想いを伝えたかった。

 だけれども、彼は欲しいという気持ちだけで蹂躙していい相手ではなかった。

 共演者で、同業者で、そして同性だ。

 彼の気持ちが僕にあるのかなんてことは、聞かずとも伝わっていた。

 
 二人きりになると、冗談を言い合っていても、彼の瞳は次第に潤んでくる。
 触れてもいないのに身体中から伝わってくるんだ、僕に、触れて欲しいという、彼の気持ちが。

 だからこそ、それ以上は踏み込めなかった。


 その頃から、彼女に触れることが少なくなっていた。
 不審に思われても仕方が無い。
 だけれども、僕は自分から彼女を傷付ける事がどうしてもできなかった。
 だから、婚約した。
 彼女は、喜んでくれたけど、笑ってはいなかった。
 きっと、彼女は僕の本当の気持ちに気付いていたんだろう。



 たまらなくなってキスしながら強く抱き締めると、腕の中の彼が痛みにか身を捩る。

 させたくなくて、そのまま押し倒すように手近なベッドへと転がりこんだ。

 ベッドに仰向けになったジェンセンを、上から見下ろしながら、口を開く。

「ジェンセン、僕は」

「…ごめん」

 え、と目を見開く。

 ジェンセンは僕から目をそらして唇を震わせながら呟いた。

「俺が、電話で、変な事言ったから……気を悪くしたよな。…悪かった」

 少し、疲れてたんだ、と目を伏せる。

「もう、気にしないでくれ。6月のコンベンションは出られないけど、次のには出るようにするから、だから…」

「待って、ジェンセン。違うんだ、そうじゃなくて…」

 躊躇いがちに謝罪を告げるジェンセンの、バサバサの睫毛の間から、潤んだ瞳が覗く。

 最後に触れた時に、僕を見つめたあの、瞳と同じいろで。

 かなしそうなジェンセンの目は、深い湖のような煌きを湛え、告げている。


 言葉に出して言えないけれど、―僕が好きだ、と。


「好きなんだ…」


ジェンセンが、と言う。

 普段様々な凝った台詞を口にし、映像を作る仕事をしているのに。ここぞと言うときにはこんなありきたりな言葉しか出てこなくて。


彼は大きく目を開いて瞬いた。

肉厚のくちびるが震える。

僕に何か告げようとしている。

聞きたくて、そして聞くのが怖くて。

言葉を飲み込ませるように、もう一度僕は彼に深く口付けた。



**********



 気付けば、窓の外は日が落ちて、カーテン越しに夜景が美しく瞬き始めていた。

 明日も撮影がある。今日すっぽかしてしまった分の穴埋めもしなくてはならない。―帰らなければ。

 腕の中に抱き締めて眠っていたジェンセンの、頭をそっと枕に預ける。
泣き疲れたのか、彼はよく眠っているようだった。



 ―服の中に手を差し入れてまさぐっても、彼は拒まなかった。

 悲しいような嬉しいような、複雑な表情で顔をくしゃりと歪めて笑った。

 彼の肌の感触は、想像していた以上にしっとりと吸い付くようで、噛み付いて吸い付いて痕を残したい激情を抑えて、

 何処も彼処もを舐めた。

 僕は男としたことがないから、傷付けずに彼の中に挿いる自信がなくて、彼の中に入りたかったけれど、身体中を舐めまわす僕に感じて震えながら勃ち上がる彼自身に触れて絞ってやるのと、彼も恐る恐ると言うように僕に触れて同じようにしてくれるので満足した。

 長い時間を一緒に過ごしてきたのに、初めて聞くような耐えられないというような甘い泣き声を洩らして達する彼を見て、じわりと腹の底が震えるような快感を覚えた。

 彼に男との経験があるのかなんてどうでもよかった。

 ―嘘だ。考え始めたら嫉妬で胸が焼けそうになる。彼を縛り上げて全ての経験を吐かせたくなってしまう。

 自分にそんな信じられないほどの独占欲があることをはじめて知った。


 カーテンを引き、ベッドサイドのライトを最小に絞って付け、眠っているジェンセンの肩まで布団を掛けてやり、額に口付けて部屋を後にした。

 マネージャーの雷と、それから明日の撮影が待っている。

 頭の中を切り替えようと思いながらも、歩きながら脳裏に浮かぶのは、僕の腕の中で涙を零したジェンセンの綺麗な瞳の色だけだった。






【3へ】
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捏造大注意です!!時間軸はけっこう適当です。。。。
二人がそれぞれの映画の撮影どこでやってるのかよくわからなかったので、。。。
来年の映画公開楽しみですね〜

あーそれにしてもこのふたりは現実のほうがオソロシクらぶらぶですなー


ぶらうざもどるでおねがいしますー