※ご注意です※ |
以下はSPNのS×Dのパロディ小説です。 意味のわからない方、興味のない方は、 ご覧にならないようにお願い申し上げます。 ※R-18要素を含みます※ |
【 I don't feel like it! 】 2 |
フットボールの試合が終わったのか、TVを消してビールを飲み干すと、あーぁ、と気の抜けた声を出してディーンは伸びをする。 シャワーを浴びにバスルームへ向かうらしい兄の姿を、サムはパソコンに向かうフリをしつつ目で追っていた。 ざっと浴びてきたのか、すぐに出てきたディーンは、ボクサーパンツにちゃんとTシャツを着込んでいて、サムはそれを見て軽く眉を上げる。 兄弟がこうなってから、やる気がある時、ディーンはシャワーの後、下だけを履いて出てきたり、タオルだけを巻いて出てきたり、時には全裸で出てくることすらあった。 勿論サムにそれが拒める筈もない。 出来たらもうちょっと恥じらいをもって欲しいなとは思うものの、何よりも欲しいものをほらどうぞご自由にと差し出されているのだから、ラッピングなどには拘っていられない。 大体兄弟で恋仲になってしかも躰を合わせているというのに、恥ずかしがれというのも無理な話な気もする。全てをゆるしてくれているだけで、サムは十分過ぎるほど満足だった。 ―出来たらサムの目の前でナンパしまくるのはもう少し控えて欲しいと思うけれど。 ディーンがTシャツにボクサーパンツを着て出てきたというのは、本当に今日はそういう気分ではないのかもしれない。 だが、そんな事でへこたれてはいられない。 多少気分屋の気があるディーンと、生まれた時から一緒にいるのだ。懐柔の仕方は嫌というほど熟知している。 サムは新しく開けたビールに口をつけながら、頭の中で作戦を練った。 簡単に髪を乾かした後タオルを首に掛けたまま、気が向いたのか、時間のある時の日課である武器の手入れを始めたディーンは、慣れた仕草で愛用の銃の掃除をしている。 少しばかり調子の外れた鼻歌を歌いながらご機嫌にそれをこなしていくディーンを横目に見ながら、窓際のベッドの向こう側で、サムも時間の空いた時の日課である腹筋と腕立て伏せに励んでいた。 33、34、と小さく数えながら腹筋を繰り返す。 サムのコレは主に、兄に対するバカみたいに強烈で自分でも制御しがたい欲望を少しでも発散させる為と、実戦に対応する為という2重の意味で実益を兼ねたものなのだが、そんな事とは露知らず、 『それ以上筋肉つけてどーすんだ』 とディーンはサムの筋トレを冷たい目で見ていることが多い。 身長差というよりも、体格とこのサムが日々頑張った努力の賜物のおかげで、自分がサムに敵わなくなったのだということを良く理解しているらしい。 だが、そう言う目で見られれば見られるほど、抱き合うたびにディーンがサムの逞しい躰に押さえつけられながらも悔しそうにそれにしがみ付けばつくほど、サムが頑張って筋トレに励んでしまうということを、この兄はまるでわかっていない。 ディーンは、筋肉バカだとか、やりすぎはオンナノコに嫌われるぜとか、サムのこれ以上なく鍛えた身体をからかうが、そう言いながらも彼が本当はその筋肉に激しく惹かれているらしいことに気付いたのはつい最近の事だ。 同じように鍛えても、体質が違うのかディーンの筋肉は比較的柔軟で柔らかく、サムの筋肉は鋼のように締まって硬い。 それが悔しいのか、羨ましいのかは分からないが、サムが稀にその筋力を見せつけるようなシーンに出くわすと、何故かディーンは正視していられないとでもいうかのように顔を背けたり目を反らしたりすることがあった。 確かに、脱ぐと女の子には童顔とのギャップにびっくりされるようなことはあったけれど、まさかほぼ実用の為に鍛えたそれが、対実の兄にまで有効なフェロモンを醸し出しているとは予想だにしなかった。 ディーンは、多分サムの躰が好きなのだ。 サムなら何でもいいのかもしれないけれど、とりあえず嫌いではないことは確かだ、それは間違いない。 ディーンを様々な意味で求めているサムにとって、それは僥倖のような気付きだった。 ディーンがメインで頻繁に使う武器の手入れを終え、サムがノルマの筋トレを終えたのは、殆ど同時だった。 荒い息で、ゆっくりと腕や肩を回す。 唐突に動きを止めることは身体にとって良くないので、収まっていく呼吸と共に、徐々に動きを緩やかにしていく。 汗で僅かに身体に張り付いたTシャツ姿のサムを、ディーンがちらりと見る目線に、僅かな欲情を感じる。 ―ヨシ、これなら多分いける。 サムは内心でガッツポーズをつくり、ゆっくりとディーンに近付いた。 【3へ】 ********** |