※ご注意です※
以下はjajeの妄想小説です。
意味のわからない方、興味のない方は、
ご覧にならないようにお願い申し上げます。

【 歯医者の恋人 】
4








 ジャレッドは朝からずっと、何をしていても今日は自分の心拍数が無駄に多いことを感じていた。

 無意識にちらちらと時計を見ては、あと五時間、あと四時間、とカウントしながらそわそわしっぱなしでリチャードには、
「お前顔赤いけど熱でもあるんじゃねえの?」と呆れ気味に首を傾げられてしまう始末だ。


『パダレッキ先生、診察中にすみません』

と、診察中に内線で受付からコールが入った。
失礼、と患者に一声かけてから内線に応える。

「何?」

『今日七時半に予約の入っているアクレスさんなんですが、ご都合が悪いそうでキャンセル希望されています』

「え……」

目の前が真っ暗になった。

『それで、別の日に予約を入れたいんですが、明日の夜しかこられないそうで、パダレッキ先生は明日早番なので、明日遅番のコリンズ先生に……』

「だめだ」

『え?』

「気になるところがあるから、僕が診る。明日お待ちしてますから、何時でもいいからいらしてくださいって伝えて」

わかりました、と告げられ受付スタッフとの通話は切れた。

 患者に謝り、治療に戻りながらも、ジャレッドの脳裏は、ジェンセンの歯のことだけでいっぱいだった。
もう一度彼に会いたい、歯を納得するまで見たい、そして――

 いつも通りに仕事をこなしながらも、もう頭の中は彼のことだけしか考えられなくなっていた。






「えぇっ、マジかよ!?」

 すっかり失念していたが、翌日はローレン他数人の歯科助手の歓迎会を仕切り直す事になっていた日だった。

 予約が入ったからいけない、と伝えるとリチャードはあからさまに呆れた顔をした。

 その隣で、またミーシャはジャレッドをじっと見つめている。

「おまえ、仕事に命かけンのもいい加減にしろよー?可愛い女のコつかまえて優しくしてもらって何ぼだろ、男は。
 せっかくこんな美人揃いの助手がはいったってのに、お前が来ないんならローレンは他のに持ってかれちまうぞ?」

「別にいいよ、悪いけど皆には謝っておいてくれ。支払いの件は経理の子に任せてあるから、好きに飲み食いして」
 ただし二次会は病院持ちじゃないからな、とからかいまじりにいうと、イエッサー!とリチャードは元気良く背を向ける。

 ミーシャは、何故かぽんぽん、とジャレッドの肩を叩いてから踵を返した。
 本当に良く分からない男だ、と苦笑しながらジャレッドは時計を見上げる。


 もうすぐ8時だ。

 彼が何時に来るのかはわからない。
 だが、今日中に彼に会えるのは確かなことで。
 それが、今のジャレッドには待ち遠しくてたまらなかった。










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