※ご注意です※ |
以下はjajeの妄想小説です。 意味のわからない方、興味のない方は、 ご覧にならないようにお願い申し上げます。 |
【 歯医者の恋人 】 1 |
「あぁ…もう11時だ…クソッ」 苛々しながらジャレッドは半袖の白衣の襟元を緩め、忌々しげにパソコンのキーを叩いた。 壁の高い位置に掛けられたシンプルなホワイトの時計は11時3分を示している。 診察時間は、8時までだというのに。 先日買い換えたばかりの、アーロンチェアの背もたれにからだを預けて伸びをする。 頭をさかさまにするほどリクライニングさせ、深くため息をついた。 今日は本当ならば新しく入ってきた歯科助手のローレンの歓迎会だった。 だが、飛び込みの紹介が入り、父親を通しての紹介だった為断ることも出来ずにジャレッドが残業をすることになり、否応無しにそれはキャンセルとなってしまった。 どうせなら皆で行ってきたら、と言ったのだが、スポンサーはジャレッド自身だ。 彼が行かないとなると皆行き辛いらしく、それではつまらないのでと言ってくれたので、仕方なく抑えておいた最近人気のパスタとワインが美味しいという女の子達が喜びそうなレストランのキャンセルを入れ、後日仕切り直しをすることを約束して彼女達を帰らせた。 それからもう、2時間が過ぎようとしている。 ジャレッドは、パダレッキデンタルクリニックの院長だ。 昨年までこの歯科医院で診察をしていた父親が引退をし、兄はTV業界のプロデューサー業についているため、歯科医師として歯科大学で研究をしていたジャレッドがこの医院を継ぐことになった。 パダレッキデンタルクリニックは、祖父が州知事をしていた関係上の縁で、セレブリティな患者が多く、その要求に応えていく上で必然的に高級感があり、質の高い治療をするのが売りの歯科医院になった。 そのため、治療費も他より高めではあるが、患者重視のスムーズかつスピーディを心掛けた懇切丁寧な治療体勢に、ホテルのような落ち着いたエントランスと、診察室はホワイトとパステルグリーンで 揃えた最新の医療器具に診察台。 笑顔の美しい親切な受付嬢、若く腕のいい美人の歯科衛生士に、歯科大学で一番の生え抜きだと評された腕利きのジャレッドが医院を継いだ事で、父親のクチコミで治療に定評のあった医院は、更に患者を増やしつづけている。 これ以上患者は増えなくていいと思っているジャレッドだったが、紹介で入ってくる患者を断るわけにもいかない。 ―だが何もこんな日に来なくたって。 ジャレッドは内心で悪態をつく。 今年の新卒で入ってきた助手のローレン・コーハンは、とてもはっきりとした顔立ちでスタイルもよく、堂々とした物言いで文句無しの美人だった。初対面の面接時に、両顎の形が左右対称に近いのがいいと感じた。 ジャレッドは少し彼女に興味を抱いていた。 職場がデンタルクリニックであるということもあり、患者へのイメージからも、歯並びがよく、自分自身の歯の衛生に興味がある者のほうが長続きし易いということで、面接の際にそれで落とすことはないにせよ、参考程度に歯を見せてもらう事がある。 彼女の歯並びは、今このクリニックで働いている誰よりも整っていたように見えた。前歯だけしか見ていないが、あの分だと奥歯も美しいに違いないと思う。 しかも矯正をしての歯並びではないという。 ジャレッドは彼女に―いや、彼女の歯の持つ美しさに、少し惹かれている自分を感じていた。 マニアックだと思われるのは御免なので、そういった好みは一部の共通の感性をもつ歯科大時代の友人にしか話していない。 ジャレッドは、医学的にも、視覚的にも、美しい歯並びをこよなく愛していた。 無論自分の歯の健康と審美にも気を使っている。 父親の厳格な指導のもと、母も兄も妹もとても美しい歯と歯並びを維持している。 その生育環境はジャレッドの恋愛観にも大きな影響を及ぼしていて、どんなに笑顔がキュートだったり、鼻の下が伸びそうなほどナイスバディ女の子であっても、歯並びが悪かったり色が美しくなければ心が動かない。 今までに付き合った女の子達も皆、きらめくほど白い歯をきちんと手入れしている、ジャレッドの好みのストライクぴったりの子ばかりだった。 そんなジャレッドの、好みにピッタリのローレンの歓迎会という、彼女のことをよく知るチャンスの日だったのに。 内心でガッカリしながら、モニターに担当の患者のレントゲン写真を映し出しては今後の治療計画をまとめていたジャレッドの耳に、ポーン…、という、エントランスゲートを人が通過した時のサインが聞こえてきた。 ようやく、待ちかねた紹介の患者が到着したらしい。 白衣の襟元を整えながら、ジャレッドは小さくため息をついて立ち上がった。 2 ********** 患者さんはもちろんあのひとです ぶらうざもどるでおねがいしますー |