JaJe AU R-18

【 Private Islands 】
12











 ありえないくらいに汗塗れでぐしゃぐしゃの躰を洗い流す為に、二人でバスルームに向かう。
 どんなキツイシーンの撮りを終えた時より、くたくたに体が疲労しているのを感じた。
 リビングルームのラグの上で転がったまま3回もしてしまったせいか、足も腰もガクガクして歩くのもやっとで、これは明日になったらどうなっているのだろうとジェンセンは不安になる。

「ジェン、大丈夫?」

 抱いてってあげようか、と真顔で言われていや、いい、とぶるぶる頭を振る。
 190cm越えの男に180cm越えの男がお姫様抱っこされる図は、冗談にしかならない。
 ジャレッドなら落とすことなく大柄な自分を軽々と抱き上げられる事は撮影中で経験済みだったが、プライベートでそれだけは御免だとジェンセンは本気で思った。



―それなのに。

 さっきひとりで入ったバスルームのシャワーブースに入ろうとすると、当たり前のような顔をしてジャレッドが一緒に入ってきた。
 自分より相当運動量は多かった筈なのに、ジャレッドはけろりとした様子で疲れた素振りも見せない。
 これが普段からのワークアウトの賜物なのか、それとも4歳ぶんの体力の差なのか、ジェンセンは少し複雑な心境だった。

 二個あるんだからお前はあっちを使えば…と言うまでもなく、洗ってあげるね、と手早く適温に調節したコックをひねり、湯気に包まれていくなかで後ろから抱き竦められ、泡立てたソープを体に塗りたくられる。

「ッ、」

「くすぐったい?」

 それとも、キモチよくなっちゃった?とくすくす笑いながら言われ、そ、そんなわけ無いだろ、とジェンセンが言うと、そう?と泡塗れの手で軽く乳首を抓まれてひくっと仰け反る。

 後ろから頬と頬を摺り寄せられ、なんだかイチャイチャしているできたてのカップルみたいで酷く恥ずかしい。

 そのまま胸全体に泡を広げるようにして撫でられ、荒い息を殺しながらガラスに手をついて体を支えていると、後ろから顔を捻るようにしてキスを求められる。

 くちくちと舌を絡ませあいながら、洗うような撫でるような仕草で泡塗れの躰を辿るジャレッドの手を感じていると、尾てい骨よりすこし上にジャレッドの昂ぶりを感じてビクッと震える。

―え、ま、また…?

 思わず竦んだジェンセンに気付いたのか、ジャレッドは濡れたジェンセンの耳朶を舐めながら

「ここではしないから…」

 大丈夫、といわれ、幾分ホッとする。
 だが、抱き竦められたまま熱く口付けられ、躰中をぬるぬると撫でられているともう勃たないと思っていた自分にも火が灯り始める。

 ジャレッドを受け入れて腫れたようになっている後ろにも、ソープを纏わせたゆびで丁寧に洗われて、ジェンセンは顔から火が出るような恥ずかしさを覚え、震えながらそれを耐えた。

 僕も洗って?と強請られ、ふらつく体で振り返り、逞しく鍛え上げられたジャレッドの体中に泡塗れの手を這わせていく。

 ただ洗っているだけだ、それだけだと思ってはいても、躰中が心臓になったみたいにどくどくと脈打ち、引き締まった固い肌に手で触れているだけでは足りなくて、馬鹿みたいにジャレッドが欲しくて仕方なくなってくる。

 どう目をそらそうとしても、目に入るジャレッドの勃ち上がったものを目にすれば、さっきまでこれが自分をどんな風に泣かせたのかを思い出して恥ずかしさと動揺でジェンセンは立っていられなくなりそうにふらついた。

 正面からジャレッドにゆるく抱き締められ、昂ぶりあった互いのものがお互いの体に触れ、どうしていいのかわからず助けを求めるように
目の前のジャレッドを縋るように見つめる。

「ジェン、そんな目で見ないで…」

 我慢できなくなる、と言われて優しく口付けられる。

「ジャレッド、…ッ」

 さっきみたいにどうかもっと激しくして欲しい、とジェンセンは視線で訴えた。

 でもジャレッドはそんなジェンセンを見ないように目を反らし、コックに手を伸ばして水圧を上げ、勢い良くふたりぶんの泡を洗い流していく。

 シャワーの水滴にさえ感じ入って、ジェンセンは焦れたように目の前のジャレッドを見つめながらぶる、と震える。

 そんなジェンセンに気付かない振りをして手早く泡を洗い流していくジャレッドが憎らしくて、舌を伸ばして尖った顎先をちろりと舐める。

 びっくりした顔で見つめるジャレッドの目を、どうにか自分の方へ向けていたくて、ジェンセンは無我夢中でジャレッドに口付けた。

 結局、しないと言っていたのに互いに我慢が出来ず、昂ぶった体を絡めあったままシャワーブースを出ると、浅く湯を溜めたバスタブの中で二人はもう一度繋がりあった。

 背を凭れさせて座ったジャレッドの上に向かい合って座り、ジェンセンがたまらずに腰を揺らすたび、ちゃぷちゃぷと湯が跳ねる音がする。

 後からあとから愛しさと欲情が湧き上がり、濡れたジャレッドの髪に手を差し入れてかき上げながら引き寄せて深く口付ける。

 今だけでいいから、ジャレッドの全てを自分のものにしたくてたまらなかった。

 いやらしく勝手に動く腰を撫でて、ジャレッドが自分を含むジェンセンの蕾にゆびをそっと這わせると、たまらずにジェンセンから声が洩れる。

「あ、ダ、メだ、ッそこ…ッ」

 くちびるを離して嫌々というように首を振るジェンセンに、どうして?とジャレッドは耳朶を食みながら言う。

「ジェンのココ、ゆびも入らないくらい、イッパイだね…」

 まだ、痛い?と聞かれてジェンセンは首を振る。

 今日初めてジャレッドとの性交に及んだばかりのそこは勿論痛みが無いわけではなく、おおきく固いジャレッドに広げられすぎて苦しさはずっとある。

 けれど、それよりもようやくジャレッドと繋がれたという安心感と、それから擦られるたびに掠める奥が疼くような快感に支配されていて、痛いといって止めて欲しくは無かった。

 ナカの自分を確かめるようにジェンセンの筋肉の張った締まった尻を強く揉みしだくジャレッドは、ジェン、ジェン、気持ちいい…?と目を瞑って腰を揺らすジェンセンの耳元で囁く。

 こくこくと必死に頷きながら、我慢が出来なくなり、ジェンセンはジャレッドの手を取って、昂ぶり切って限界を訴える自分のものに触れさせる。

「アッ、ァ、…ンッ!」

 すぐさま包んでくれた大きなジャレッドの手の中に 軽く先端を弄られただけで、ジェンセンは息を詰めて零してしまう。
 ジェン…ッ!と呼びながら、無意識に締め付けたなかで、ジャレッドが熱い飛沫を吐き出したのがわかった。


 結局、立っているのさえ辛いほどになったジェンセンは、バスルームで体を拭いている時に足が萎えてしまい、バスローブを羽織った後、ジャレッドに抱き上げられてベッドルームに戻ることになった。

 まったく当たり前のように自分を抱き上げてベッドに下ろしにっこりと笑うジャレッドを見ていると、恥ずかしいとか照れくさいとかおかしいんじゃないかとか、そう言う気持ちがすうっと消えていく。

 ふたりだけしかいないこの島に来てまで、固定概念に囚われ過ぎている自分に気付いて、ジェンセンは少し反省した。

 そうして、昨日ジェンセンが一人で寂しく不貞寝をしたキングサイズのベッドで、今度は後ろからジャレッドに抱き竦められ、その熱と心地いい疲労感に、落ちるようにして、二人は幸福な眠りについた。









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