JaJe AU R-18 【 Private Islands 】 10 |
繋がる 互いのリズムを重ねて揺れ合う 躰のすべて、五感の全てでジャレッドを深く感じる ジャレッドと躰を繋げてみて初めて。 ジェンセンは、自分が、この世に生まれてきたことの意味を知った気がした。 ―ジャレッドに、出逢う為だったのだと。 今までも、何度かそんな予感はあった。 演技をしていて遊んでいて話していて、ふと心が触れ合ったような気がした時に。 何気なく視線が絡んだ瞬間感じた不思議な感覚に。 他の誰にも思ったことのない“運命”という言葉を、 今何の疑いもなく彼に感じていた。 たかがセックスだ。 同性だから生殖の行為ですらないそれ。 それなのに、初めて見るジャレッドの欲情を剥き出しにした姿は、 野性的でどこか愛しく、視線が絡んだだけでまるで既に犯されているように 全身に甘い痺れが走り、強くジェンセンを惹き付けた。 肌がぶつかる音 性器が擦れあう粘液の音 決して綺麗とは言いがたい行為 なのに、魂を揺さぶられるくらい、この先の生き方が 変わってしまいそうなくらいに翻弄される。 触れ合った熱い肌から、視線から、伝わるまっすぐな恋情。 ジェンセンの名前を呼ぶことしかしなくなったジャレッドが、 今自分と同じ気持ちを感じている事が、 触れた場所から伝染するように伝わる。 彼を想うだけで、視線が触れるだけで。 ジェンセンは、愛という言葉の意味を 花が水を吸い上げるようにして静かに理解した。 ジャレッドから与えられた気持ちがジェンセンの中に染み渡り、 そしてまたジャレッドへと還っていくように。 少しずつ湧き上がり、溢れては静かに心に満ちていく想い。 ―生まれてきてよかった、とジェンセンは思う。 「ンッ、フ…ゥ、ンッ…ッド、ジャレッ、」 膝の上に抱え上げられ、抱き合って躰を繋げ、また揺れながら、 くちゅくちゅと深く何度もくちびるを合わせる。ぐちゃぐちゃで汗塗れの滑る体を 離れないように互いに抱き締め合う。 繰り返し魔法の呪文のように幾度も名前を呼ぶ。 呼ぶ声に込めた想いは、ジャレッドの躰でジェンセンへと返される。 どんなにしても足りないくらいに、愛しさが後からあとから湧きあがってくる。 ジャレッドは、ジェンセンがいた小さな部屋の鍵を開けた。 それは、ジェンセンが自分の心を守る為に閉じ篭った小さな要塞だった。 どうしてそんなところにいるの? 世界はこんなに広くて、美しくて、そして皆が君を愛してる。 おいでよ、一緒に行こう? そう言って、躊躇いもなく彼はジェンセンの手を取った。 おそるおそる取った手に引かれ、ジャレッドと共に見る世界の色は、まるで違う国に来たかのように、ジェンセンの目に生き生きと鮮やかに映った。 そうして、また不安になって隣を見れば、いつでも そこにはジャレッドがいた。 太陽のようなジェンセンの大好きな笑顔を浮かべて いつも彼はジェンセンを見ていてくれた。 ジェンセンがジャレッドを愛するのは、 世界に互いしか居なかったイヴがアダムを愛したように、 植物が太陽を渇望して顔を向けるように。 ただ、当たり前の事だった。 ―こんなにも幸福な気持ちに満たされる日がくるなんて、 ジェンセンは夢にも思わなかった。 ジャレッドに抱き締められると、世界中が愛おしく思えた。 今まで彼を育んできた、全てのものに感謝した。 そして、ジャレッドに出逢わせてくれたこの運命に。 ジェンセンは、また泣きながら、心の底から、神に感謝した。 【12】へ |
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