※ご注意です※
以下はSPNのS×D SSです。
意味のわからない方、興味のない方は、
ご覧にならないようにお願い申し上げます。

※R-18要素を含みます※
That's Private Mode3

【 Trance or Real 】









「カット!」

 今日数回目のカットの声がかかる。

 何テイク目かわからないそれに、深く溜息をついてジェンセンは俯いた。

 ―調子が悪い。

 同じシーンで、セリフ回しがうまくいかなかったり、立ち位置を間違えたりと、完全な自分自身のせいだけでこんなにもNGを出してしまうのは、このドラマの撮りに入ってから初めての事だった。

 スクリプトは全部頭に入っている。自分のものも、共演者のものも。なのにどうしても今日はスムーズにいかない。

 NGを出さない俳優として信用を得ていたのが、これで全部パーだ、と苦々しく自分自身を自嘲する。

 だがそんな安いプライドよりも、周囲に迷惑を掛けている、そのことが焦る気持ちを更に深く追い詰める。

 心配そうにスタッフが遠巻きに見ている視線が疎ましく、気を遣って差し出された飲み物を断り、目を背ける。

 同じセットに立っていたジャレッドが、何も言わないままふっと何処かへ行くのが見えた。



 確かにディーンのセリフがひたすらに長いシーンではある。

 そんなのは、このドラマではよくあることだ。

 だが、まだ今日は一度もサムのセリフまで行きついていない。二人だけのシーン。まだ後にも、手間のかかるシーンが山ほど残っている。

 今日は午前様かもしれない。恐らくジャレッドも呆れていることだろう。
 手にした台本を確認する素振りで、だが全く頭には入らず、ジェンセンは苛々と足踏みをした。

 監督とジャレッドが何か話をしているのが目の端に映った。




 しばらくして、タイムキーパーから
「ここでちょっと1時間休憩入りまーす!後も長丁場だから食事も済ませておいてねー!」
という声がかかって、張り詰めていた現場の空気がふっと緩んだ。

 ガヤガヤとスタッフが簡単な片付けをし、移動をし始める中で、すぐ側に停めてある自分のトレーラーに戻るべく、声を掛けようとする心配そうなスタッフに軽く頷いてジェンセンは足早にセットを後にしようとした。

 100%自分のせいである筈のこの休憩中に、後ろめたさと情けなさで、誰とも話したくなかった。

 それなのに、トレーラーのドアを閉めて、上着を脱ぎ、スクリプトを投げ付けたい勢いで、深く溜息を吐こうとした瞬間、鍵の掛っていないドアがカチャリと開いた。

「―悪いけど、一人にしてくれ」

 背後を見ずとも、ノックもせずに入ってくること、そしてその足音で、ジェンセンにはそれが誰なのかわかった。

 だが、今は、本当に誰とも話す事も、顔を合わせることすらしたくなかった。

 なのに、ジェンセンの手から上着を取ったジャレッドは、まるで拒絶の言葉など聞こえていなかったかのように、そっと後ろから癒すように抱き竦めてくる。

 衣装のままの有り得ないその行動に、ぎょっとすると共に怒りが湧いてきた。

「ジャレッド、ふざけるな。本当に、今は一人になりたいんだ。出て行ってくれ」

 感情を抑えて言うと、何も言わないままジャレッドは後ろからジェンセンの頬にくちびるを触れさせる。

今は、いつもはただ愛しく感じる筈のその熱や匂いですら疎ましく思えた。

「ジャレッド!!」

 もぎ離そうとした手を逆にとられて、抱きかかえる様にして奥のベッドルームに連れて行かれる。

「冗談はやめろ、何考えてるんだ、出ていけ!!」

 ベッドにそっと下ろされて後ろからもう一度抱き締められそうになり、ぶん殴ってやりたい心境のままもがき暴れる。

 こいつは、俺の気持ちなんて何も分かっていない。何一つ。

 衣装で羽織っていたシャツを脱がされ、Tシャツの中に潜り込んできた手に腹を撫でられ、驚いてひくつく。

 思いっ切り蹴飛ばしてやりたいのに、後の撮影の事を考えてそれができない自分が憎い。
 首筋に高い鼻先をそっと押し付けられ、その熱に気持ちは嫌悪を感じているのに、躰は温もりを感じて馬鹿馬鹿しい程に安堵する。

「やめろ、そんな事してる場合じゃないだろう」

 ジャレッド、本当にやめろ、怒るぞ、と言っても、背後のジャレッドは何も言わず。

 次には、ベルトに手を掛けられる。手早くそこを解放しようとする動きに、怒りが驚きに変わり、腕に掛けた手が止めるまでもなく、下着の中にするりと入り込んだ手は敏感な急所をそっと握り込む。

 びくっと躰が震えてジェンセンはくちびるを噛んだ。

 何を考えているのか。

 こんなことをしてる場合じゃない。少しだけ休んだら、スクリプトを確認して、そして次は絶対にワンテイクで収めなければ。

 こんな状況で反応を返す筈もなく、力を失ったままのそれを、でも分かっているのかただ柔らかく大きな手で包み込んだままジャレッドは温める様に手を引こうとはしなかった。

 焦る気持ちをジャレッドへの憤怒へと変え、ジェンセンがどうにか手を振り払って口を開こうとした時。



「―ディーン」



 ひくっとジェンセンは抵抗を止める。

「大丈夫、僕がいるから、少し休んで」

 君は昨日眠れてない、だから疲れてるんだ。

 そう言われて、体中が心臓になったような気がした。



 ―言い間違いだ、そうだ。


 俺はうまく切り替えられなくて、よくジャレッドとサムを混同してしまうけれど、でもジャレッドがそんなことを言うなんて珍しい――

 そう思ってその言葉の意味を考えず、内心の混乱を収束しようといたのに、更に掛けられた言葉にジェンセンは今度こそ硬直した。

「大丈夫、傍にいるから安心していい」

何かあったら起こすから。


お休み、…兄貴。


 首筋にそっとくちびるを触れさせられ、まるで難しい狩りの合間に共に休息を取ろうとするかのように、ふう…、と深い息が項に掛る。

 掛けられた言葉に、行動に、ジェンセンはどうしようもなく混乱していた。後ろから抱き竦めてTシャツの内側に潜り込み腹を抱き竦める手を、外そうとしていた筈の手が震え始める。

「…ディーン?」

 眠れない…?と囁かれて、混乱は頂点に達した。

 バカ言うな、お前はジャレッドだろ。

 サムじゃない、サムはセットの中でだけ、スクリーンの中にだけいる偶像のキャラクターだ。

 違う、違う違う!

 そう思うのに、もう一度耳元でディーン、と囁かれて、素肌の腹を優しく撫で上げられ、後ろからそっと頬を包まれる。温かさに溜息が洩れそうになる。

 ディーン、と呼ばれて、混乱のまま、ジェンセンは後ろにいて自分を抱き竦める男の名を呼んだ。



「、サム…ッ」


 ふっと吐いた息が耳元にかかる。耳殻を乾いたくちびるで辿られて、そっと耳の後ろに口付けられる。

「なに…?」

 サム、サミー…ッと必死に呼ぶジェンセンを、『サム』は優しく抱き締め直す。

 そうだよ、君のサムだ。大丈夫、少し眠ったら全部良くなってる。

 眠れないの?ほら、一度出したらいいよ。そしたら、すぐ眠れる。楽になるよ。大丈夫、僕に任せて…


 ディーン。


 決定打を打つようにそう言われ、ジェンセンは『サム』の腕を掴んだまま、その手が与える快楽に身を任せた。











(一部抜粋)







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サム×ジェンでジャレ×ディーンというかそんな感じの内容です。
全体的に激甘なのでご注意くださいませ。
時系列とか超捏造なのですが、あくまで妄想ですのでご理解いただけたら、、、(汗

このビミョウくろすおーばーはまき様vからリクエストで頂いたんですが、もしここご覧になっていたらまた最後までUPしてメールさせていただいてもいいですか?(ここできかれても(汗
すいません頂いたリクを毎回本にしてしまいまして…(汗)