※ご注意です※
以下はSPNのS×Dのパロディ小説です。
意味のわからない方、興味のない方は、
ご覧にならないようにお願い申し上げます。

※ネタバレ・R-18要素を含まみます※
兄の羞恥とプライド。






 「ほらディーン、隠してもしょうがないだろ、もっとお尻上げて……うん、そう」


 ベッドにうつ伏せていた俺は、纏っていたベッドカバーを剥かれ、偉いね、と言われながら、怒りと羞恥とに固くなったまま、弟の手がボクサーパンツを下げるのを固まったまま許した。

「ディーン、カラダに力が入ってる。これじゃ、せっかく買って来たクスリ塗れないよ。足もう少し開いて…もうちょっと…そう、」

 素肌の内股に、サムの手がざらりと触れ、離れていく。

それだけでゾワリと産毛が総毛立つようなザワザワした感触が体を走る。

昨夜の余韻が、まだ体のそこここに熾火のように燻っているのがわかった。

 悔しさに唇を噛んでいると、突然腹の下に手を入れられて、ぐっと持ち上げられる。

「ちょっ…おい、サムッ!?」

そのまま、枕を差し入れられて、俺は下半身を丸出しにしてその上弟に尻を差し出した、世にも情けない格好にさせられそうになり、驚いてもがく。夜ならともかく、真昼間にこんな格好はキツ過ぎる。

「動かないで。…それとも、また痛い思いしたいの?」

揶揄するでもなく、ただ淡々と冷静なサムの声に、俺はピタリと動きを止めて、
「、クソッ…」と吐き捨てるしかなくなる。

情けなさと恥ずかしさで、不覚にも涙が滲みそうになる。
耳まで真っ赤になっているのが、自分でもよくわかるけれど隠しようもない。

これに比べれば、悪魔に哀れな仔犬チャンと言われた時のほうがまだ悔しくなかった。

くそッ…なんで、こんなことに…


*********


きっかけは、数日前からの出来事だった。

狩りの途中、サムと喧嘩をした。悪魔を倒すのに時間を使いたいというサムと、目の前の狩りが先だと思う俺と。

言い合いなんかはいつもの事だけど、その時は何故か互いに度が過ぎてしまった。
サムは車から降り、オレはインパラに乗って別行動をする羽目になった。



大丈夫だと思っていた。

別々の生活をしていた2年間、一人での狩りは何度か経験している。
それと同じにすれば問題はないと。

だが、結局考えもしない事に、人間による罠にはまって、オレはエミリーと共に果樹園の神に生贄として捧げられるところだった。

―タッチの差で、サムが助けに来てくれなければ。


両親を無くし、叔母夫婦や信じていた町の人間にまで裏切られたエミリーは、昇進のままはじまりの樹に火を放ち、旅立っていった。
たった1人の旅路は、俺達に背を向けて出て行った時のサムにも似た寂しさで。

知らず知らずの内に、重い溜め息を吐いていた。





 バスターミナルを出た俺達は、モーテルをとった。

 肉体的な疲労もあったが、それよりも尚、酷く疲れていた――心が。

 サムがシャワーを浴びている間に、ドライブインで買い込んだビールをあおる。空きっ腹に沁みる冷たさを味のしないピザで押し込んで、ただ流し込んだ。

 交代でバスルームに入ると、洗濯するつもりなのか、洗面所のシンクにTシャツが置いてある。ったくどけろよ、と思いながら手にとると、ふっと強くサムの匂いを感じて、全身の産毛がゾクリと総毛だった。


 感じたのは、家族には思うはずの無い欲情で。
ありえないと思いながら、熱いシャワーを浴びて、その感触を打ち消した。

適当に身体を拭き、腰にタオルを巻いたまま、置かれたTシャツをみないようにして部屋へ戻る。

俺よりはキレイ好きのサムは、キチンと髪を乾かして、洗ったTシャツを着ている。

 俺がバスルームから出てきたのを見たサムは、飲んでいたビールをベッドサイドに置いた。見れば置かれたビールの瓶の横には、既にワセリンのチューブとゴムが用意されている。

 呼ばれたような気がしてサムのベッドの脇まで歩くと、腰掛けたサムに、引き寄せられるようにして口付けられた。

―良かった。こんなことを考えていたのは、俺だけじゃなかった。
 
安堵しながら、口付けを受け入れる。

皮肉な顔をして、お前の為にやってるんだぜ、といわんばかりのポーズをとらなきゃ、俺はサムを誘えない。もし、本気で軽蔑した目で見られたならと思うと。

サムが大きな手で俺を抱き竦め、膝を突いた俺の顔じゅうにキスを降らせる。
生きていて良かったと言わんばかりの愛撫に、心底安堵した。

―良かった、まだ、嫌われていなかった。

 促され、サムの下肢の衣類を下げてモノを取り出し、愛する。
 自分が感じるところの全てを、想いをこめて愛撫してやる。


 サムから離れて、サムの居ないところで死にたくは無かった。

 サムの為になら、死ぬ事なんて怖くは無い。


 どくどくと脈打つ、サムのモノに愛しさを込めて口付ける。

 お前は知らないんだろうな。

 お前が、もう一度俺と一緒に旅をしてくれると言った時、俺がどんなに嬉しかったか。
 お前が、俺の車から降りた時、俺がどんなに悲しかったか。
 
俺からは、何もいえないんだサム。行かないでくれとも、戻ってきてくれ、とも。
 くびれを舐め回し、大きく張り出した先端を飲み込もうとすると、押し止められる。
 口付けられながらサムを跨ぐ形で引き上げられる。もう挿れたいんだな、と思った。

 ワセリンを掬って、俺の後ろに塗りつけるサムの動きは、酷く優しい。

 その優しさが、今は救いで、そうしてとても痛かった。


 いつかこの腕を無くしたら。
 俺は、決して生きてはいけない。




 そう思うと、優しく促すサムのモノに跨り、呑み込むのを動かずに待つ優しさすら、疎ましくなってくる。

 そうして、ぬるま湯の中で甘やかされるような行為に我慢できなくなった俺は、結局こんな言葉を吐いてしまう。

「…今日は、やけに大人しいんだな。昨日シテきて疲れてるんだったら、もう終わりにしたって、いいんだぜ?」



 その侮辱するような言い草に、キレたサムがうつ伏せにした俺に圧し掛かってくる。

 昨日女の子を抱いたなんてそんなわけが無い事は、今セックスをしている俺が一番よく分かってる。だけど辛いんだ。優しくされ過ぎると、怖くなる。

 ずっといつまでも、悪魔を倒せずにサムと居られたら、なんて思ってしまう。

 俺のこんな罪深い物思いに気付く筈も無く、サムは激しく俺を突き上げる。
 俺の慣れたソコは、そんな行為にも、痛みと同じくらいの快感を感じて、我慢するほどもなく零してしまう。つられたのか、サムもゴム越しに、俺の中に吐き出したのが分かった。

 荒い息を、互いに別のリズムで繰り返す。

 どんなに愛しても、一つの固体になれるわけじゃない。
 



 見なくとも、サムが俺の背中を見つめているのがわかった。
 心のままに動く事が許されるのなら、すぐさま起き上がって、サムを抱き締め、甘やかして大事にしてやりたい。


 狩りがしたいなら、してもいいし、したくないならしなくてもいい。
 俺をそばにいさせてくれるなら、何をしたっていい。



 だけれども、そんな気持ちを知ったら、きっとサムは狩りが終わった時点で、俺から離れていくだろう。そして二度と戻らない。

 冷たくされるのが、俺のためでもあり―サムのためでもある。

 だけれども、振り返って抱き締めたい気持ちを抑えられずに。俺は突っ伏したまま、サムが何を思っているのかを考えていた。


【END】








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暗い話でゴメンナサイ(;>_<;)
でも、オニイチャンがサムとまた三人で暮らしたい。。。と言い出した時のあの仔犬のような目…!!!やられました(TロT)
サミー、あんなかわいい目で言われてよく突き放せるのう。。。(涙)