※ご注意です※ |
以下はJen/Dean&S/Dの妄想小説です。 意味のわからない方、興味のない方は、 ご覧にならないようにお願い申し上げます。 ※R-18要素を含みます※ |
【 Love Knot 】 HAlf an apple 2 |
(中略) 鍵を開けながら、いったいどうしたのかなーと思いつつサムはドアを押し開ける。 と、ドアのすぐ脇に、黒いかたまりがしゃがみこんでいてぎょっとした。あわてて駆け寄る。 「ど、どうしたの!?ディーン!!?」 咄嗟に膝をついて肩に触れる。まさか酔っているのか、だが酒の匂いはしない。具合が悪いのだろうかと青くなると、ゆる、と頭を上げたディーンは、なんだ、お前か…というようにもう一度膝に頭を預け直してからくぐもった声で呟いた。 「………ジェンが…」 「ジェンセン?ジェンセンが、どうかしたの?!」 事故にでも遭ったのかと息せき切って尋ねる。すると、緩く頭を振ったディーンは小さな声で、 「帰ってこねえ……」 と言い、そのあとは頭を抱える様にして動かなくなってしまった。 どうやら事故ではないらしい。 だが、見たこともないくらいに落ち込んでいる。 まさか喧嘩したのかな、と思いながらサムはディーンの背中を撫で、あのさ、とささやいた。 「…ジェンセンと、なにかあった?ケンカして、拗ねてるなら僕が探してこようか?」 そういって、しばらくそっと背中を撫でてみる。動かないディーンに心配になって、ディーン?とささやくと、 「……いい」と言ったディーンは、ゆっくり顔を上げた。 一人で待ちながら泣いていたのか、まぶたが少し腫れている。しょげきっている様子に胸が痛むが、息を吐いて座りなおしたディーンの具合が悪いわけではないとわかり、とりあえずホッとした。 この放っておいてもいつもぺたぺたくっついている仲良しな兄弟の間に、いったい何があったと言うのだろう。 「…お前、腹へってねえの?」 ふとディーンはサムの顔を見上げて聞いた。 着陸前に飛行機の中で軽い軽食が出ているので、特に空腹は感じていない。 「あ、飛行機の中で軽く食べてきたから」 言うと、ふうん、と何故かディーンの表情は哀しそうに曇った。 「あっ、えっと、でも、まだちょっと空いてるかも!」 慌ててそう言うと、ちらりと視線を上げたディーンは、じっとサムを見ると、緩慢な仕草でふらりと立ち上がった。 「…食うんなら、いま、あっためる」 ―いったい、何のパーティなんだ。 あっためる、と言ったディーンが程無くして出してくれたのは、山盛りのスペアリブと1ホールのチョコレートケーキだった。 スーツのジャケットだけを脱いで待っていたサムは、それを見てうわ、と絶句する。 どちらも、一人の人間に出すには異常な量だった。いくら躰の大きいサムでも、これは食べきれない。組み合わせも肉とケーキのみというのが絶妙に微妙過ぎる。 だが、どんよりとした顔で皿を見つめているディーンの様子のおかしさに、こんなに食べきれないよとは冗談にも口にすることができず、サムはとりあえず手を組んで祈ると、いただきますと骨付き肉を皿に取った。 「…うまいか」 もぐもぐと食べるサムをぼうっと見つめ、ディーンはぼそりと聞いてくる。 長く煮込んだのか、スペアリブはほろりと骨から柔らかくはがれ、味も良く沁みて美味い。ほっぺたに含んだ分を咀嚼してから、 「うん、すごく美味しいよ。ディーンの料理は、何でもおいしいけど」 と正直に褒めると、ふうん…、と呟いたディーンはテーブルに肘をつき、まるで泣きそうに目を伏せる。 それを見て、口と手を拭きながら慌ててサムは席を立ちディーンの横に座る。 「ディーン、ディーン、泣かないでよ…」 「泣いてなんかねえ」 そういう潤み切った瞳からは、ばさりとした睫毛を掻い潜って、いまにも大きな涙の粒がこぼれおちそうだ。 「どうしたんだよ、そんな…」 声もなくただ静かに嘆くディーンに、サムはどうしてやったらいいのかわからず、おろおろして隣からそっとディーンを抱きしめた。 何も言わない彼は唇をかみしめた哀しそうな顔のまま、されるがままになっている。 抱き締めた勢いでか、潤んだ瞳からはつぅ、と涙が零れた。顔色は青白いのに、頬は悲しみにか僅かに上気している。 いつも皮肉そうに笑って、年上の自負と余裕を持ってサムに接する彼と同じ人間とは思えないほど今のディーンは頼りなく思えた。 いったいなにがあったのかはわからない。けれど可愛くて、可哀そうで、サムはどうやったら彼の哀しみを拭いとってやれるのかを必死で考えた。 またお土産いっぱい買ってきたんだよとか、クソ親父から珍しく出張のボーナス貰えたから、ディーンがしたがってたインパラの改装、何でも好きなようにやっていいよ、とか。 どうにか笑って欲しくて様々な言葉が頭を駆け巡るが、どれも彼の元気を取り戻すには至らない気がする。 彼が切に願って待ち望んでいるのは、ジェンセンの帰宅、ただそれだけなのだから。 哀しそうに静かに涙を零す様に耐えられず、思わず脇から救いあげる様にして膝に乗せ、髪に鼻先を埋める。 ぎゅうっと抱き締めても、ディーンは時折ひくっとしゃくりあげるだけでなにひとつ抗わずにサムのすることをゆるした。 ディーン、泣かないで、と囁いて抱き締める腕を強くする。 頬にそっとくちびるを寄せ、こめかみにちゅっと小さく口付ける。なにか言おうとしたのか、ゆるく顔を上げた彼の瞳からはまたつっとひとすじ涙が伝う。僅かに開いたくちびるからは、結局ことばが発されることはない。 サムはそれをたまらない想いで見つめ、涙をくちびるですくい取った。 濡れた滑らかな頬をぺろぺろと舌で舐めると、肩を竦めたディーンがくすぐってぇ…、とちいさく呟く。そんな反応でも返してくれたことが嬉しくて、ごめん、と言いながらもサムは頬に愛しさを込めたちいさなキスを繰り返す。 耳の後ろに鼻を埋めて匂いを嗅ぎ、くちびるを押し付けながらTシャツに包まれた腹を撫でる。手を潜らせて直に滑らかな肌をまさぐる。すこし汗を掻いていたのか、ゆびに吸い付くようなしっとりとした感触に、眩暈がする。 たまらなくなって、僅かに濡れたくちびるに唇を押し付ける。 一瞬だけびくっとしたディーンは、だがすぐに躰の力を抜いた。角度をずらして合わせ、うなじを手で掴んで熱い咥内を深く舌でまさぐる。 次第に仰け反る様に上を向かされるディーンは、くちびるも躰の力も抜いていて、どこもかしこも柔らかく、サムの欲望を従順にただ受け入れてくれる。 舌を強く引き出して吸い上げ甘く噛むとひくんと躰は揺れるが、くちびるは開かれたまま、目を伏せて震える睫毛はまるで眠っているかのようにサムの舌が口腔内を隙間なく舐め回すのを許す。まるで人形みたいだった。 いつもとは別人のような大人しさに、心配と嗜虐の相反する欲望がサムの中で鬩ぎ合う。苦しそうに眉が顰められるまで続けて、ようやくどうにか離す。 「……したいのか?」 荒い息で頬ずりしていると、ぽつりと聞かれて、え、とサムは手を止める。 ダメだ、以外言われたことのない言葉だった。まるで、誘われているかのような。 ディーンを慰める為に抱き締めた筈だったのに、いつの間にかサムはそれを忘れてディーンに夢中になっていた。 「あの、その、…い、いいの?」 どぎまぎしながら聞くと、ディーンはゆっくりと濡れた視線を上げる。 その目には哀しみと共に縋るようないろが浮かんでいる。 ディーンの嘆きにつけこむことは二人共にとって決していいことではない。 そう思うのに、ふらふらと魔性のような碧の瞳に誘われるがまま吸い込まれていく。 もうどうでもいい。思い余って、伸し掛かろうとした瞬間、カチャリと玄関のドアが開く音がした。 (一部抜粋) -------------------------------- ※このおはなしのじぇんは、じぇんせんというよりも、ディーンと同じ顔をした兄弟で、わがままな天然の甘えっ子。でたまたま名前がじぇんだった。 というくらいの別キャラです。。。 |