※ご注意です※
以下は主にじぇん×でぃん、
ぷらすさむ×でぃんの妄想小説です。
意味のわからない方、興味のない方は、
ご覧にならないようにお願い申し上げます。

※R-18要素を含みます※
【 Half an apple 】





(中略)





 もう、戻らなきゃ、気付かれる、そう思うのに体は動かない。

 ごそごそ音がして、兄弟はどうもべたべたに濡れた躰の、汗や体液を拭ったりしているようだった。

 ひとしきり始末を終えたのか、ディーンはタオルを放り投げるとばったりとジェンセンの隣に倒れ込み、「ジェンー、ビール!」と甘えた声でねだった。

「えー、やだよ、ディーンが取りに行けよ」

「何だよ、気持ち良くしてやっただろ?あんないっぱい出しやがって」

 溜めんなよ、とくすくす笑ってからかうようにディーンはジェンセンの足に足をからませている。

 見ればいつのまにか二人はボクサーショーツを身に着けている。全裸で眠る習慣は兄弟にはないようだ。

「う、うるさいな、だって、ほんとに、すごく、き、気持ち良かったから…」

 恥ずかしそうにいうジェンセンに、うん、俺も、とディーンは聞いたこともないほど優しい声で囁いた。またキスをしている音がする。

 今度はジェンセンのほうが積極的にしているのか、ディーンの鼻から仔犬のため息のような可愛い声が漏れた。

 セックスの後だというのに、淫らさはかけらもない。

 ふわふわの綺麗な仔猫同士が、じゃれあって絡み合っているような可愛らしさがそこにはあった。

 けれど、心にぽっかりと穴があいたような思いで、兄弟がじゃんけんでビールを取りに行く係を決めているのを聞く。

 サムは静かにドアを閉めた。



 そのまま、部屋へは戻らずにリビングへと向かう。灯りをつけずに待つ。

 予感は的中した。

 現れたのは、ディーンのほうだった。

 ボクサーショーツに黒いTシャツというラフないつもの寝間着姿で、ディーンはぺたぺたと裸足でキッチンへと向かう。

 二本ビールを取りだすと、あくびをしながらサムに気付かずに行こうとするのに、「ディーン」と声を掛けた。

 居るはずのない暗闇から唐突に声を掛けられて、ディーンはぎょっとしたように振り返った。

「おい、おどかすなよ…!どうした?まさか、ここで寝てたのか?」

 お前も飲むか?と聞かれて差し出されたビールを、奪い取る様にして受け取ると栓をねじ切って開け、サムは一気にそれを呷った。

 半分ほど飲み干すとディーンは呆れたように「お前も喉乾いてたんだな」といって、また冷蔵庫のほうへと向かう。

 ジェンセンの分をまた出すんだ。

 そう思うと、何故かカッと腹の底が熱くなり、サムはビールをテーブルに置くと、乱暴にディーンの肩を掴んだ。

 ドッ!という音とともに両肩を壁に押し当てると、「いてぇな!いきなり何すんだよ!?」とディーンはサムを睨む。

 落としそうになったビールを持ち直しているディーンに、顔を近づけて、そっと聞いた。

「ジェンセンの、気持ち良かった?…僕より…」

 囁くと、驚いてディーンは顔を上げた。

 だが彼は、見たのか、とサムを責めはせず、一瞬だけ哀しそうに視線を合わせると、すぐ表情を消した。

 それから、なにか言おうとして、自嘲的に苦々しく顔を歪めると、首を振る。

「…今日はもう遅い。お前も明日バイトだろ?もう寝ろよ」

「待てよ!、まだ、話は終わってない。なんで僕には触らせないでおいて、ジェンセンとはするワケ?意味分かんないよ」

 また肩を掴んで、ディーンを押し留める。責める様にして聞くと、僅かに頬を染めたディーンは、

「…お前とヤったら明日仕事に行けなくなる。ジェンとは…したくなったから、した。ただ、それだけだ」
 まだ何か聞くことがあるか?と言うようにディーンは真正面から見つめてくる。

 その視線のまっすぐさに、逆にサムのほうが一瞬怯んだ。ディーン、…と呟くと、何を聞きたいのかも、何を確かめたいのかもわからずにサムはディーンの僅かに濡れたくちびるにそっと近づく。

 触れた瞬間に、ディーンは逃げる様にサムの腕から身を捩って擦り抜けた。

「…遅いと、ジェンが気にする。ちゃんとベッド使って寝ろよ」

 おやすみ、と言われてサムはカッとなった。

 そのまま行かせるわけにはいかないと思った。「待てってば、ディーン!」肩に手を掛けようとすると、その瞬間にパッとリビングルームの電気が灯された。

 入口にはぼんやりとした顔で、先ほどとは違い大きめのパーカーにスゥエットを着込んだジェンセンが立っていた。

「ディーン、どうし………あれ、サム…?」

 いつもかけている眼鏡がない。それだけで、ジェンセンは驚くほどディーンに似ていた。

 良く見えていないのか目を細めて交互に二人を見て、その気まずそうな様子に、首をかしげると、ふわ、と欠伸をしてから口を開く。

「……ケンカ?」

 その呑気な口振りに、サムはついカッとなった。

 誰のせいだと思っているのだ、と一瞬だけ憤る。勢いのまま口走った。

「悪いけど、ジェンセンちょっと向こうへ…」

「―サム!!?」

 次の瞬間、ぎょっとして睨むディーンに、サムは逆に何だよ、と文句を言いたくなった。

 確かに居候なのは自分のほうだ。ここはジェンセンとディーンふたりの家なのだから、自分にそんなことを言う権利はないのかもしれない。だが、できれば今は少しだけ席を外していてもらいたい。そんな気持ちで頼んだだけだった。

 決して強い口調ではなかった。だが、言われて一瞬だけきょとんとしたジェンセンは、ハッとすると、ふたりの緊迫した様子に気付かなかった自分を恥じるかのように、少しだけ頬を赤くして俯く。

 そのまま、きょろきょろと意味もなく視線を泳がせ、みるみるうちにしょんぼりしてぽそっと口を開いた。

「お、おれ、寝るから……」とだけいうととぼとぼとドアの向こうに消える。

 それを見て、真っ青になったのはディーンのほうだった。呆然とジェンセンの背中を見送った後、サムとキッと振り返る。

「なんてこと言うんだよ、この…サムの、…ボケッッ!!!!」

といって、力任せにガツッと膝のあたりを蹴られる。

「イテッ!!」

 あまりの勢いにがくっと崩れて膝を着く。

 強烈な蹴りに骨が歪んだような気さえした。shit…!と呟きながら、患部を確認し、はっとして見上げれば、後を追ったのか既にリビングにはディーンの姿はなかった。



 何故、ちょっと席を外してほしいとジェンセンに頼んだだけで、あんなにディーンが血相を変えて怒ったのか。それがサムにはわからなかった。

 やっぱりちょっと言い方がきつかったのかな、とか、様々な事を思い出し、考えて見るがわからない。

 しばらくリビングでズキズキして僅かに腫れた膝を冷やしながら考えこみ、時計を見上げると先程の出来事から多分30分近くは経っている。

 けれど、勿論そのまま眠ってしまうことなどできそうもない。

 ディーンの部屋に戻って眠るにはジェンセンの部屋の前を通らなければならないし、そのついでに、できれば一言謝っておきたい。そう思って、恐る恐るサムはジェンセンの部屋へと向かいリビングを出た。

 フットライトは消され、暗い廊下にはドアの開いているジェンセンの部屋から漏れる灯りだけが頼りだ。

 廊下のライトを点けることも憚られ、恐る恐るサムはジェンセンの部屋からそっと中を覗く。

 先程見つけた本棚の隙間からそっと見ると、案の定、ベッドの上に兄弟は二人ともがいた。

 柔らかそうな毛布を腹まで掛けた状態で膝を立て、壁に肩をくっつけて、ジェンセンは顔が見えないほど俯いている。

 その横に寄り添うように肩を抱き、ディーンは彼を慰めているようだった。

「…いいよ、もう……もう、サムのとこへ、いけよ。はなし、途中だったんだろ……」

 ぽつぽつというジェンセンに、ディーンは首を振る。

「話なんてないんだ。もうサムの事はいいから、今日は寝ようぜ?お前、目ぇ真っ赤だぞ」

 ん?と優しく顔を覗きこむのに、ジェンセンはぷいと顔を背けている。

 しばらく沈黙が続き、サムが、謝るために声をかけるなら今かな、と考え始めた頃。唐突にジェンセンが口を開いた。

「ディーンなんか嫌いだ」

 いきなりきつい口調で言われて、慰めていた筈のディーンの肩がびくりと震えた。様子をうかがっていたサムも驚く。

「はやく、サムのとこ行けってば…!!」

 嫌いだ、ディーンのバカ、と繰り返しながら、ジェンセンの肩はぶるぶる震え、耐え切れなくなったのか、うぅ…っと嗚咽が零れる。

 深く俯いたために、耳元しか見えていない肌は涙をこらえていたせいでかピンク色に染まっている。

 それを見て、哀しそうに顔を歪めたディーンが、ジェン、と声を掛けて背中を撫でようとすると腕に強く振り払われる。

それごと抑え込むように、ディーンはジェンセンの丸まった背中を震える嗚咽ごとぎゅうっと抱き締めた。

「サムのところにはいかない。あいつ、もう出てってもらう」

 それを聞いて、ジェンセンの嗚咽は一瞬止まり、だが覗いていたサムも息を呑んだ。

 ひくっと息を呑みこんで、ジェンセンはおそるおそる顔をディーンのほうへ向ける。真っ赤な頬は涙に濡れ、くちびるを噛んでいたのか、下唇が少し腫れている。

 その涙を苦笑しながら手を伸ばし、丁寧に拭ってやりながら、ディーンは言った。

「あいつ元々金持ちなんだしさ。どっちにしたってそのうち親父に許してもらえたらすぐビバリーヒルズに戻っちまうんだ。少ないけど、俺の貯金ぜんぶ渡せばその間住む部屋ぐらい借りられるだろ。ここは俺とお前のうちなんだし…それに、お前をこんなに泣かせるようなヤツと、もう一緒に住みたくない」

 部屋が見つかり次第、出ていってもらうから、な?といって、ディーンはジェンセンの頭を優しく撫でた。

 すると、そうして、ともそうするな、とも言わず、ぼうっとした視線のままジェンセンはまたぽろぽろと涙を零し始めた。

「…ディーンなんて、嫌いだ」

「あぁ、そうか」

「ディーンのばか」

「あぁ、バカだな」

「ディーンの………ディーン、ディーン、…いかないで」

 いちいち真面目に相槌を打っていたディーンは唐突にくしゃりと顔を歪めてまた嗚咽し始めたジェンセンに、「いかない。俺に、ここ以外のどこに行く場所があるんだよ?」と優しく囁く。

「ずっとお前のそばにいるよ」というと、ジェンセンの嗚咽は弱くなる。

 ほんと?というように見上げるのにこくりと頷いている。

 疑うようにしばらくディーンの顔を見つめた後、まだひくひく嗚咽しながら、ジェンセンはずるずると体を擦り下げて、ディーンの胸元のあたりに顔を埋めて腕をまわし、ぎゅっとしがみついた。

 やれやれ、というように苦笑したディーンは、唐突にびくっと背をびくつかせる。

「ジェン…ちょっと、こら、待てって……」

 何事か言いながら、ごそごそしている。体勢が変わったせいで、ディーンの姿がサムからはよく見えない。

 体勢を変えて、ベッドヘッドに上体を凭れさせるような体勢で、ディーンはジェンセンが抱きついているのを少し押し留めて、何故か着ている黒いTシャツを胸元まで捲り上げた。

 何をしているんだろう、とじっと見たサムの目に、信じられない光景が飛び込んできた。

 まだうっ、うっと時折止まらない嗚咽を呑みこみながら、ジェンセンはディーンの胸元に顔を押し付けている。

 チュ…と言う音が聞こえ、その時、どうやらジェンセンは、ディーンの乳首を吸っているのではないかということに気付いたサムは驚愕した。

 目を眇めて必死に見ても、やはり状況は変わらない。

 んっ、うっ、と何か言いながら、真っ赤な顔で泣き続け、だががむしゃらにジェンセンは兄の小さな乳首を吸い続けている。

 噛まれでもしたのか、時折、っ…という小さなディーンの息を呑むような声と、それからちゅうちゅうと音を立てて哺乳瓶を吸っているような音が静かな室内に聞こえる。

 次第に頬を赤くしていくディーンは、ベッドヘッドに上体を預け、くったりと躰の力を抜いてジェンセンの好きにさせている。時折ジェンセンの頭を撫でたり、安心させるように背中をたたいたりしている。

 これが、乳幼児と母親の姿ならばまったくおかしくはない。だが、彼らは成人した、しかも兄弟なのだ。

どう考えてもそれは変だ。常軌を逸した状況であるのにもかかわらず、だが乳など出るはずもない胸を兄弟に吸わせているディーンと、そこに安心を求めているのか必死に吸い続けるジェンセンの二人の姿は、異常でありながら、どこか聖母子像のように清らかで、それは他者が口をはさむべき余地のない光景だった。 
  
 ふたりきりで、世界の全ては完結している。何時か感じたように、そこにはサムの入り込む余地など、どこにもないのだ。

 しばらく呆然と見ていると、ふっと視線を揺らめかせたディーンと、サムの目が合う。

 びくっと驚きに揺れたディーンは、だがまだしがみついて自分の乳首に夢中なジェンセンを、引きはがそうと思ったのか肩に手を掛けたが、結局できず。

 うろたえる様にもう一度サムを見た後、まだそこにいるのを確認すると、目のあたりを押さえて、余りの羞恥にかみるみる首まで真っ赤になった。

 こちらを見ないまま、片手を、もう行けよ、というように緩く振られる。ずっと見ていた事を責められるより、ああして罪の意識に苛まれるように赤面されるほうがずっと申し訳なく、サムはそっと部屋を出るとドアを閉じた。












(一部抜粋)







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※でぃん兄の★くびはさみーじゃなくてじぇんのものなんでした…っていうおはなしです(えぇっ!?(・_・;)全般的にかなりイレギュラーに兄弟がめちゃめちゃ思い合っている話ばかりです。Jaさんはじぇんが好きなだけなんだけど、今回ちょっと悪役カモ…
主にはじぇんでぃん兄弟&さみーの話が多いです。
リバ表現ででぃん×じぇんというのは、明確には表現がありません。ただ、サムが絶対やってると思いこんでいたりだとか、でぃん兄がじぇんを見てむらっときたりだとか(でも結局やられるのはでぃん兄…)そういうやってるのかも??的表現はございますので、リバに嫌悪感を覚える方はお気をつけくださいませですー(>_<)