※ご注意です※
以下はJA/JEの妄想小説です。
意味のわからない方、興味のない方は、
ご覧にならないようにお願い申し上げます。

※R-18要素を含みます※
【 Hotel J&J 】
Ja/Je AU





(中略)





  その日、結局ジェンセンは全てのフロント業務が終了するまで姿を見せなかった。

 もともと午後休だったため、交代で入るサマンサが出勤するまでの三時間少々いなくなっていたことになる。その間はジムがフロントに入ってフォローしていた。

 だが、ジャレッドはドアマンとしての業務をこなしながらも、ジェンセンのことが心配で仕方なかった。

 具合でも悪くなって、トイレで倒れていたら、とうろうろ探し周り、昼前に自分の休憩がくると、速攻で館内を探し、いないと分かると部屋へ直行した。

 ノックしても返事はない。心配過ぎてジムのところへいくと、「サマンサと交代したらわしが探す。お前は昼飯でも食って、休んでろ」と素っ気なく言われて落ち込む。

 だが、休憩を終える前に覗きに行くと、ジムがジェンセンの部屋から出てくるところで、びっくりして慌てて駆け寄った。

「ジェンセンは?中にいるんですか?」

「あぁ、大丈夫だ」

 そう言うジムに、それでも気になってノックしようとすると、「お前はもう仕事の時間だろう。業務に戻れ」と強く言われて仕方なくその場を離れる。

 けれど仕事中も気になって仕方がない。清掃が終わった後にバスマットの交換を頼まれた部屋を間違えたり、荷物持ちに呼ばれた階数を忘れて慌てたりでミスを繰り返してしまう。そわそわして、ようやく仕事を終え、いつも同じ時間にとっている夕食の場にも何故かジェンセンは顔を見せなかった。

 皆が部屋に戻った後、ようやく彼の部屋をノックする。

 絶対に居る筈だ。なのに、返事がない。

 焦れる思いで小さくノックを繰り返し、「ジェンセン、僕だよ。いるんだろ?開けてよ」

 ジェンセン、と抑えた声で必死に呼び掛ける。

頼むよ、顔みせて。心配なんだ、と言ったとき、後ろから物音がして振り返る。部屋ではなく食堂の手前のドアが開き、何故か地下から上がってきていたのは、ジーンズ姿のジェンセンだった。

「ジェンセン」

 ほっとして駆け寄ると、ワインの瓶を抱えるように手に持ち、歩いてきた彼は目を伏せ、かすかに顔を強張らせている。

「大丈夫?どうしたの、どこか具合でも悪い?」

言うと、ジャレッドの脇をすり抜けて部屋に入ろうとする。

「どこ行ってたの?」

「…ワイン、取りに行っただけだ」

「ね、ちょっと待てよ」

 無視して入ってしまう彼について慌てて部屋に入る。

グラスを出している彼に焦れて、「みんな心配してたんだよ」と腕に触れる。とっさに、彼はジャレッドの腕を強く振り払った。

「あ…」

 びっくりして目を丸くすると、自分でも驚いたのか、でもジェンセンは謝ろうとはせず、俯く。一瞬みた目は泣いたのかウサギのように真っ赤になっている。

「…ね、一体どうしたの?」

 ぴりぴりしている様子のジェンセンに、殊更に優しく問い掛ける。彼はぎくしゃくとワインをテーブルに置き、ジャレッドに背を向けた。

 ジェンセン、ともう一度呼ぶ。

「…もの」

「え?」

 何か聞こえて、ジャレッドは聞き返す。




「浮気ものッ!!」




 いきなり大きな声で怒鳴られて、ジャレッドは一瞬怯んだ。でもすぐに、その言葉の意味に気付いて仰天する。

「なっ、何!?僕がいつ―」

「俺の前で、女の子といちゃいちゃ肩組みやがって」

 前に回り込んで聞くと、ジェンセンは目に涙をいっぱいためて怒っている。

 一瞬何のことか分からず、考えを巡らせてハッとする。

「もしかして、朝の写真のこと怒ってるの?」

 聞くと、ジェンセンは「それ以外にも、まだあるのか?」とくちびるを噛んでいる。

「ないよ!そもそも、ジェンセンだって頼まれて客と写真とることくらい、あるじゃないか!」

 ジェンセン自身も老夫婦などに懐かれて、こんなかわいい孫がいたらとよく写真を求められては一緒に撮っているのだ。だが彼は全然納得しない。

「俺は、あんなにベッタリくっついて撮ったりしない!!」

「くっついてなんかないよ!ただその、寄られたから一応、…だって、逃げるわけにはいかないだろ!?あれも接客の一部なんだから」

 そう必死にいうと、それでもまだ納得できないのか、ジェンセンはジャレッドをもどかしげに睨んでいる。

「働き始めてから今まで、一度も仕事サボったことなんてなかった。こんな無責任なこと、するつもりじゃなかったのに」

 何か言おうとすると、ジェンセンは顔を背けた。

「…お前なんか、きらいだ」

 はっきりと言われてぐさっときた。

そんなジャレッドのショックには気付かず、両手で目を覆ったジェンセンの頬に、ぼろぼろと大粒の涙が伝い始め、驚いて息を飲む。

「荷物、運ぶの手伝おうかと思ったら、お前が女の子の肩抱いてて、…心臓が止まるかと思った。その場にいられなくて、ワインセラーに降りて、寒くなって部屋に戻ったら、探しに来たのは、お前じゃなくてジムだった」

「僕は館内全部探したんだよ!まさか、地下に居るなんて思わなかったんだ」

 そう言っても、言い訳と思うのか、ジェンセンは全く許してはくれない。

「あんまり苦しくて、心臓が痛くて、死ぬんじゃないかと思うほどつらかった」

 目を隠して頬から滴るほど泣きながら言うジェンセンに、胸が痛む。んっ、うっ、と嗚咽しながら責められて、接客的には正しくとも、自分が彼にそれほどの苦しみを与えたことを悔やむ。一体どうすれば良かったのかは、わからないけれど。

 ジェンセン、と言って肩に触れようとすると、彼はまたそれを嫌がって振り払う。

 晒された顔は真っ赤で、涙でびしょびしょに濡れている。可愛くて思わず頬が緩む。手で拭ってやろうとすると、ジャレッドの表情に気付いたのか、彼はまた顔を隠して必死に言った。

「おまえ、俺が苦しんでるの見て、楽しいのか…?」

「楽しんでなんかないよ!ただ、あんまり可愛いから」

 ごめん、そう言うと、逆効果で怒ったのか、彼の嗚咽は激しくなった。

「おっ、お前は、ヒドイ奴だ、おれが、こんなにお前のこと愛してるのに、おれの気持ち、ひっく、もてあそんでっ」

 言われて思わず耳を疑う。―今、愛していると言われた。泣きじゃくり、責めながらではあるが、それでも。

 頭に血が上る。混乱しながら、自分もまた必死に伝えようとする。

「あっ、あの、もてあそんでなんかないって!僕も愛してるよ!!」

 本気だよ!!と必死に言ってもジェンセンは顔を抑えて首を振るばかりで話しにならない。

 頭を撫でようとしても、肩を引き寄せようとしても嫌がって肘を振り回す。意固地になって怒っている。

 腹を決めて、もう殴られてもいいとばかりに、力任せに腕の中に閉じ込める。本気の力比べならば、どうやったってジャレッドが優勢だ。しばらくもがいていた彼はごめん、これからは気をつけるから!と何度も言って羽交い絞めにし、頭を胸に押し付けて宥めていると、唐突にふと大人しくなった。

 ホッとして抱き直し、そっと顔を覗き込む。ようやく暴れることを諦めたのか、涙で汚れた頬でジェンセンは俯いている。

 ジェンセン?と呼ぶと、彼はぽつりと口を開いた。

「…ほんとは、」

 それだけ言って黙る。なに?と促すとおずおずおと続きを呟いた。

「ほんとは、おれが、お前のさわるの嫌がったから、怒ったんだろ?それで、意地悪したんだろ?」

 昨日のことを言っているのだとすぐにわかった。けれどどう考えてもそれとこれとは無関係で、溜息をつく。

「だから、意地悪するつもりなんかないって!ただ、仕事だし、ドアマンとして失礼のないように振舞わなきゃ、と思っただけで…まあ、昨日の夜のは、ちょっと腹が立ったけど。でも嫌がるのに無理強いするのも大人げないから」

「……今日は、する」

 え?と聞き返すと、じれったそうに彼はジャレッドを見上げた。

「ちゃんとする。だから、」

 そう言うとジャレッドをぐいぐい引っ張ってソファに座らせ、一瞬考えた後、その膝に真正面から乗ってくる。

 ジェンセン、と声を掛けようとしたくちびるを、頭を抱えるようにして塞がれる。押し付け、もどかしげに強くくちびるを吸っては上顎をくすぐるのを、逆に絡め取る。形のいい後頭部を引き寄せると、ジャレッドの頭を抱き締めている彼もまたうなじをくすぐるように撫でてきてぞくっと肌が泡立った。

 そのまま、ジェンセンは自分の白いシャツのボタンに手を掛け始めた。











(一部抜粋)







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※砂が耳から出てくるような激甘なAUですー 
ヲトメなJeさん・甘過ぎるラブストーリー・@ちシーン多というのにダメな点がいっこでもあったら読まれない方が無難なおはなしとなっております。

プレを読んで本当に大丈夫な方だけお手に取ってくださると嬉しいです!