
一見して岩山のようにも見えるが、塔のような中世ヨーロッパ的城郭状建造物がメインモチーフである。
正面ゲートがありながら、別の導入路もある。
鳥や魚、オウム貝等が黙示的にその城壁に象嵌されている。
水平線も地平線も書かれてはいない。
しかし、いささかの揺ぎも無く確固として建っている。
青い背景は空の様でもあり、同時に海中でもある。
不可思議な空間構成であるが、奇妙な親近感がある。
正に、このタブローは、根元的な自我の強烈な表現である。
我々が見る夢は潜在意識の著現であるといわれる。
太古、カオス内の単細胞でしかなかった生命誕生からの記憶が今も我々の遺伝子に記憶されているのだ。
我々は受精卵から誕生まで十月十日の間に何万年もの進化論を過ぎてきているのだ。
だから、魚となって海中を泳いだ記憶も、大空を駆けめぐる鳥の浮遊感も確かな実感として持っているのだ。
画面は額縁を予定的デッドエンドとすることで一つの宇宙として完結している。
まさに、我々の頭脳が頭蓋骨を相対的果てとした宇宙である構図と同一である。