■ きっかけ 2011年7月、会社で中学生の自由研究の話になった。「静電気の実験や、塩の結晶作りかな」 などと答えているうちに、 「あ、そう、ミョウバンの結晶なら更に大きいですよ。」 と言いました。 が!? 「ミョウバンの結晶」、小学校の時の科学部で、何週間か放置して、 白くて汚いのができた記憶だけ。 家で作ったことがない。 そもそも、ミョウバンが、そのへんで売ってることも知らんかった。 そういえば、あの時、先生は、「うまくいけば親指ぐらいになるんだよ。」 って言ってたなぁ。 そんなもんは一般人にはできない、と思っていた。 でも今回、自由研究の話題に出したからには、 まずは自分が先にやってみようと思った。 ちなみに、前述の塩の結晶は、やったことがあり、綺麗な4mm〜汚い10mmがある。 その要領でやれば、ミョウバンもできると考えた。 それは、髪の毛に運よく付いた塩の結晶を放置して、飽和水溶液の蒸発で育てるもの。 しかし、今回のミョウバンは、試行錯誤しながら、まったく別のやり方になってきた。 蒸発では、時間がかかりすぎるし、ミョウバンは、特性がかなり違うのだ。 それをここに詳しく書いてみようと思う。( これが最良の作り方かどうかは分からない ) 右上の写真は、2011/10/13夜〜10/18朝までの成長で、最も綺麗で大きな結晶になったもの。 ■ 結晶が出る条件 ミョウバンが水に溶けられる量は、水の量と温度で決まる。水の量に比例して多く溶け、また、水の温度が上ると、溶ける量が多くなる。 限界まで溶かした液を、「飽和水溶液」 と言って、結晶作りには欠かせません! (塩の場合は、温度が上ってもあまり変わりませんが、ミョウバンは極端に溶けるので注意!) この飽和水溶液を蒸発させると、水の量が減るので、解けていられないよと言って、結晶が出る。(1) 海水が蒸発すると、塩が出るのと同じ。 温度が高い状態で飽和水溶液を作って、冷ますと、これも、溶けていられる量が減り、結晶が出る。(2) インターネットによると、液に漬けて結晶を育てる方法は、3種類あるらしい。 1.蒸発によるもの 2.温度差によるもの 3.液の上と下の濃度差によるもの(難しい) 1、2は、塩でも利用した。 3は、液の温度を上を温かく、下を冷たくして、上では溶かして供給しながら、下で結晶を育てる循環サイクルみたいな? 一行で説明は。。。 本人も分かってないなこりゃ。 やったことないけど一番綺麗な結晶を作れる方法…とか。 とにかくゆっくりと結晶が育つようにすると綺麗にできると思う。 今回のミョウバンでは、ほとんど温度差を使って育てた。 ■ 今回の結晶作りに必要なもの 焼ミョウバン100g、 水(浄水)、 鍋、 透明なコップ、 サランラップ、 計り(重さ)、割り箸、 髪の毛、 セロハンテープ、 ハサミ、 コーヒーフィルター、 (虫眼鏡)、 その他 ■ 今回の結晶の作り方をざっくり図解 ■ ミョウバンの結晶作り (詳しい写真付き) 1.飽和水溶液を作る まずミョウバンを手に入れる。 これはスーパーの調味料のところにあった。 ドラッグストアにもあった。 できれば100gのがほしい…。 焼ミョウバンの場合は、まず100mlの水に10gぐらい溶かす。( 夏は多く、冬は少なめに溶かした方がいい ) 400ml作る場合は40gぐらい。 水は浄水がよい。 今回の写真は、220mlに20gのミョウバンを溶かした例。 鍋に水とミョウバンを入れて、とろ火で溶かす。 泡立ちながら溶けて、白い液になった後、さらに混ぜていると、透明な液になる。 ここで火を止める。 注いですぐ 一日後(飽和水溶液) 冷めたら、コップに注いでサランラップをする。 一日ぐらい経つと、コップの下に結晶ができる。 できない場合は、その液を振るなどして刺激を与えると、その後、できることがある。 ミョウバンの液を少し取って蒸発させて粉を作り、その粉を液に入れるのが最も効果的。 それでもできない場合は、ミョウバンを溶かし足りなかったかもしれないので、 その液を再び加熱して、少量のミョウバンを溶かす。 この結晶ができた上澄み液が、今の温度での飽和水溶液!! 2.結晶をゆっくり成長させるための液を作る 1.で作った飽和水溶液を、とろ火で暖めて、沸騰寸前で火を止める。 ( 液を少し蒸発させて、濃度を上げるのが目的。 ) ( 沸騰させると、濃度が上がりすぎて、よい液になりません。 ) 常温まで冷めない内にコップに注ぎ、サランラップをして、そっとしておく。 液が冷めても、コップの下に結晶ができなければOK。 この液を、説明の都合上、今後(2の液)と呼びます。 ※ 冷めてから注ぐと、粒の混入で、1.のようにコップの下に結晶ができて、成長させない液になるので注意 飽和水溶液より僅かに濃い液で、刺激を与えないと結晶はできないが、結晶を入れるとゆっくり成長する。 3.結晶の素を作って2の液で成長させる 上の写真のように、割り箸に髪の毛を固定したものを作る。 ↑ 2の液 ↑ 今作った濃い液 150mlの水に25g-30gの焼ミョウバンを溶かす。(1.の手順と同じ ) 1.よりも濃度が濃いのがポイント。 コップに注ぎ、サランラップをする。 冷めたら、右上写真のように、2の液と、今作った濃度の濃い液を並べる。 写真のように、今作った液に髪の毛を入れる。 @全く付かないNG A一個だけ付いた Bたくさん付いた C付きすぎて重なったNG 髪の毛を入れてしばらくすると、上のような ( 髪の毛に全く付かない〜密集して付く ) 現象が起きる。 @は、もう一度液から出して、フっと息を吹きかけ、入れ直す。 Aは、やり易いベストな状態。 Bは、このうち形がきれいで位置がよいものを後で選ぶ。 Cは、付きすぎなので、髪を液から出して、しっかり水道で洗い落とし、再度液に漬ける。 ※一度漬けた髪の毛を手でベタベタ触ると、Cになる。 Aの状態で、髪の毛に付いた結晶が綺麗な場合は、 2mmぐらいまでの小さい内に取り出し、一瞬、髪の毛を水に漬けたら、乾かない内に即、2の液に入れる。 Bの状態も、結晶が2mmぐらいまでになったら取り出し、 綺麗な結晶以外は、水道で溶かし落とし、一個にする。 最後に一瞬髪の毛を水に漬け、乾かないうちに素早く2の液に入れる。 2の液は必ず常温まで冷めていること。 熱いと髪の小さな結晶は溶けてなくなる。 ※ 髪の毛に結晶を付ける作業は重要! Point: 一瞬水に漬けてから2の液に入れる理由は、一つの結晶以外の細かい微粒子を溶かすため。 微粒子が付いていると、2の液に入れた後、それも成長して、結晶と重なり、綺麗な形にはなりません。 形が綺麗な結晶を選ばないと、後々の成長時にも影響する。 この液で2mm以上に成長させると、形や透明度が低下してしまうので、小さい内に取り出す。 小さいので、虫眼鏡などで確認して、特に、本当に一個の結晶かどうかは念入りに確かめる。 もしも複数個の結晶の塊だった場合、成長させてから気付き、がっかりも大きい。 気に入った結晶が髪の毛に付かない場合は、何度も髪の毛を水道で洗っては、やり直す。 経験では、結晶の尖った部分が真上を向いていて、透明で、 成長時は、コップの真ん中より下の位置にするのがよいと思う。(これは、まだまだ試行錯誤中) 2の液に移した写真 結晶拡大写真(成長中) 上向きモヤあり。 髪に結晶を付けた液のその後 2の液に、結晶が一個だけついた髪の毛を入れたら、サランラップをして、 直射日光が当たらず、昼夜の温度差が少ない場所に、そっと持って行く。 置いておくと、次の日には、2mmから5mm-10mmに大きくなる。 よく観察すると、結晶から上向きにモヤが上っているのが分かる。 これが見える時は、成長中である。 まるで、液からエネルギーを得ているようだ。 髪に結晶を付けた濃い液は、コップの下に落ちた結晶から、激しく上向きにモヤを上げている。 あっという間に結晶の体積が大きくなる(右上) (成長の様子) 入れて直後 → 6時間後 → 24時間後 結晶の上にモヤが確認できず、成長が止まったら、取り出して完成もよし、 もっと大きくしたい場合は、もう一つ、2の液を用意しておいて、 そこにさっと漬け替える。 継続して成長する。 ※ 漬け替えは髪の毛や結晶が乾かない内にすばやく。(微結晶が付かないように) ※ 漬け替え時の2の液も、必ず常温まで冷めていること。 ( 漬け替えをすることで、結晶の形や透明度が低下する可能性が高いので、 小さくても綺麗な結晶がいい場合は、お好みで、完成もよし ) 漬け替えを繰り返すことで、どんどん大きくなる。 お好みの状態で取り出し完成!! 髪の毛を結晶から抜いて、水分をよくふき取り、密閉容器に入れて保管。 ※ 湿気、高温、日光に弱い。 濁るので、綺麗にできた結晶は、手で直接触らないほうが無難。 Point: 髪の毛を使用した理由は、ごく細く、完成後に吊るした痕跡を残さないため。 成長中に温度が上ると、今度は溶けに転じることがあるので注意。 取り出す時は、溶けがない方が鋭角と輝きが鋭くベスト。 同じ液に3日以上漬けていると、昼夜の温度変化で、成長と溶けを繰り返し、面,辺,角の鋭さが低下。 成長中の終わりかけぐらいに取り出すと、よく輝いた鋭い結晶となる。 ■ 残った液 結晶作りに失敗しても、何度も液の再利用可能。左(髪に結晶を付けた液) 中央(結晶成長中の2の液) 右(2の液の予備―漬け替え用) ↑ ろ過 左の上澄み液も、飽和水溶液なので、右の液が減った時に、足して、2の液を作れる。 左は、沈殿結晶も全てそのまま溶かし直せば、濃度の濃い液に。 濃くなりすぎたら水を足す。 中央、右、は再び加熱で、2の液になる。 ※ 何度も液を使用して汚れたり、埃が多くなったら、コーヒーフィルターで、液が熱い内に、ろ過。 |