カネタタキ

2004年現在)

●カネタタキってどんな虫?

 

成虫が見られる時期: 8月半ばから11月の終わりまで。早いところで8月から。

鳴く時期: 上と同じ時期。

孵化する時期: 6月ぐらい。

生息場所: 木の上の枯れ葉の影など。木がある場所。

 

    下図の左はカネタタキの♂、右は♀です。♂は9〜11mmぐらいで、♀は11〜14mmぐらいです。コオロギの仲間で、♂には鳴くための羽があり、それが黒帯のように見えます。♀には羽がありません。一見気持ち悪い虫に見えますが、かわいいです。

 

    木の上で生活し、♂だけが、「チッ チッ チッ」 っと羽を立てて鳴きます。(虫の音というよりは、むしろ金属音といったところです) 昼も夜も鳴いているようです。音の大きさは他の虫よりは小さいですが、体の大きさのわりには大きな音です。特に夕方が活発かな・・・(?)

    鳴き方は、単独で♀を呼ぶときは、大きな音で「チッ チッ チッ」 っと鳴き、♂同士が威嚇するときは、「チチチチチ、チッ チッ チッ」 っと大きな音で鳴きます。威嚇の時の音は、目覚まし時計の音に似ています。 ♀と寄り添って鳴くときは、かなり小さな音で、「チッ チッ チッ」 っと鳴きます。優しさの表現か・・・  また、鳴き声は温度によって変わり、高温であるほど「チッ チッ チッ」の間隔が短く高音で、寒いと間隔が長く、少し低音で弱い音になります。

 

♂同士が威嚇して鳴いているところ

 

30℃の部屋で鳴くカネタタキの鳴き声(WAV形式)

22℃の部屋で鳴くカネタタキの鳴き声(WAV形式)

 

    去年までは、この虫を全く見たこともありませんでした。鳴き声も意識しなかった。しかし耳をすませて外を歩けばどこでも聞けます。もしかしたら家の庭で鳴いてるかも・・・

 

●出会い

    去年の9月の初めごろのこと、釣りから帰ってきて、夕食をとっていたとき、家の近くで、チッ チッ チッ と鳴く、何かの音が聞こえた。そういえばこの音、前から少し気になっていた。鳥の鳴き声なのか、虫の鳴き声なのか・・ 外ではよく耳にする音だが、意識していなかった。自転車のブレーキの キッキッ となる音にも似ている。まさに金属音である。 今回は夜なので虫の音だとわかった。 その晩、その音の正体を突き止めようと、鳴き声が聞こえる雨戸の前の家の外に出て、鳴くのを待った。しかしいくら待っても聞こえない。家に入るとまた聞こえる。よほど警戒心が強い虫なのか。予想では、鳴き声が大きいのでバッタのような大きな虫と想像していた。結局、外に行くと泣き止み、見つけられなかった。

    しかし、あまりにもはっきり聞こえるので、もしかしたら家の中にいるのではないかと気になって、寝る前に電気を消して、家の中から そーっ と鳴き声が聞こえるところに近づいた。するとなんと正体がわかった! その虫は、まるでカメムシのような姿をした小さな虫で、本棚の上にあったコンビニのレシートの隙間にいた。初めて見る小さな虫で、こんな小さな虫がこんな大きな音を鳴らすのか、と感動した。 しかも家の中にいるとは! 今まで、家に入って来て堂々と鳴く虫なんて見たことがなかった。家で鳴いてくれるなんてかわいい。 変な愛着と感動を、このとき感じた。また、カメムシって鳴くんか?と思った。

    どんな虫なのか調べるために捕まえようとしたとき、サッと跳ねて、床をすばやく走った。その姿は、黒帯が入った小さいコオロギの仲間に見えた。すぐさまビニール袋に入れた。その後、図鑑で調べて、コオロギの仲間のカネタタキとわかった。初めに見つけたときは、鳴いている姿を前から見たので、カメムシに見えてしまったみたい。それにしてもなんか感動した。

    後日、自転車に乗りながら、その鳴き声が聞こえるか耳をすませていると、木があるところからならどこからでも聞こえることがわかった。実はかなりみじかな虫だったようだ。どこからでも聞こえる音だけに聞き逃していたのだ。「いやー、また新しい発見したわ・・・感動した。」

 

    10月になり、今度は山で音を頼りにカネタタキを探すことにした。 「チッ チッ チッ」   四方八方から、聞こえてくるが、上か前か横か後ろか・・・ ぜんぜんわからない。なかなか見つけられなかった。いったいどこで鳴いているんだろう・・・?

 

 

●どこにいるのか

    カネタタキは、木の上で生活している。(芦原でも音を聞いたことがある)  都会の家の庭にある木などのごく小さいところから、公園の木、林、山など、とにかく木があればどこからでも聞こえる。エンマコオロギよりも数が多い虫だと思う。

僕は人目につかない山で、この虫を探した。

    上の写真のような低い木が密集している所では、大繁殖しているようで、よく鳴いている。聞こえる方へゆっくり歩いていくと、下の写真のような、木に落ち葉の枯れたものがぶら下がっている所にたどりつく。

     カネタタキの姿はどこにも見えないが、確かにここから聞こえる。どうやらこの枯れた落ち葉の間に潜んでいるようだ。枯れ葉を全部ビニール袋に入れると、中から2匹の♂のカネタタキが出てきた。初めてカネタタキを探し当てた時は、宝物を見つけたような嬉しい気持ちになった。

     カネタタキは、昼は枯れ葉の間などに潜み、夜や、雨の時は外に出て動き回るようだ。

 

虫の音に耳を貸すのも悪くないですな。 今、カネタタキの不思議な音にはまっています。

 

TOP   BACK