切符をください


切符をください
風が見える朝までに
あなたとわたしの間に
無数の花びらがふるえるまでに

切符をください
昨日の悲しみが
明日の青空になる前に
昨日のあなたが
明日のわたしになる前に

牛の匂いのする道に
星が冷たい影を落としていきます
荒れ野の細い道に
無人の自転車が走っていきます

切符をください
すでに列車が行ってしまったとしても
すでに何もかもが償われたとしても
貧しい少女の掌の蜜柑のように
わたしに
最後の切符を渡してください