夏の終わり


見つめていよう
この波が絶える時まで

廃屋の扉の隙間から
青い微粒子がそそいだのは
遠い夜明け

砂に刺さった瓶の破片は
午後の光をあつめ
空虚な浜辺に佇み
なぜ鼓動が乱れるのか

指先から薄れる冷たい肌
遠く伸びる岬の上を
めぐる海鳥の届かない声

瞳の稜線の上を
ゆるやかに雲が流れ
傾いた脱衣所に影が消える

打ち寄せやまない波から
光る沖の無人の船から
夕暮れが
秋を満たして近づいてくる

別れを告げるその前に
夏はすでに失われていた