夢の落日


何処か遠い場所に
コスモスの花が揺らぎはじめる

うす赤くけむる街の
ひとつの窓が開かれる

裂けた厚い雲から
濃密な夕の光

窓に佇む白い顔に
忘却の顔が重なり

小砂利を踏む幼い子供が
ぼんやりと窓を見上げる

夜が来ないかのような
永い落日の時

赤く濡れた草むらの向こう
自転車のベルが鳴り響く

青く澄んだ瞳が
コスモスのなかに目覚め

静かに閉ざされる窓が
照り返す永遠

それは
現世という名の