砂はながれる
ゆるやかに
暗い夜明けを
  (雲が垂れた地平線
   踊る黒い木の影)
獣の骨が砂から突き出し
押し倒され 埋まり
ふたたび突き出る

硝子の街は時の墓標
裂けた雲から光の棒が刺さり
砂が渦巻く
  (白い縁取りの濃紺の雲
   地平線から響く海鳴り)
幼児の骨が老人の骨にからみつき
地下室への階段をころがりおちていく
ビルの屋上にはためくぼろぼろの旗

海は青黒く暮れて
吹きすぎる冷たい風
朽ちた小屋に砂が打ち寄せる
  (水平線に傾く廃船
   地平線からのぼる黄金の月)
雲の裂け目からのぞく月に
ぎらぎらと硝子の街が輝き
骨と砂は
声のない歌の紋様をひろげる