交わり


灰色の廃線沿いに
荒れ狂う海

闇から降りしきる雪は
死者の村を埋め尽くす
喪服からこぼれる乳房の白
それは「あなた」ではなかった
「彼女」
唇を蝋で固められた祈り

海はすでに
枯渇した深さだった
雪はすでに
降下した高さだった

愛液には
一匹の精子も泳いではいない
二人は肌の境界に住んでいた
いや、すでに
二人ではなかった
首のまわりの縫合は
少しずつ一条の声に交わる

・・・幸福の顔を見るために
待ち伏せした路地のことを覚えてる?・・・

光が
来ていた
光源には夜が口を開き
照らされた指と指の間から
青い血が滴り落ちる