祈り


長い夢のはじまりか
それとも終わりなのか
高架橋の上

すべてが流れ込む
そこで選別は不可能なはずなのに
境界をわざとぼかしたような
砂漠のレプリカに住んでいる

声が聞こえる
高架橋の上
海はすでに炎をあげている
いや
そんな表象の前に
わたしを殺すかもしれない
あなたという偶然が
すぐ近くで息をしている
たぶん空を見上げている

もう自由のための
期限切れの切符はいらないから
わたしを生かして
それが駄目なら
亡霊にもなれないほどに
わたしを殺して
・・・そんな声が
聞こえたような気がする

遠近法は壊れた
それでも
高架橋の上

太陽の昇る気配だけを
ひとつの祈りのように
確かに”ふたり”で
感じていた