太陽の下に


部屋の隅に置かれた彫像に
午前の透明な光が差し込む
椅子の上の古い雑誌に
ゆっくりと通り過ぎる鳥の影

太陽の下には柔らかな丘の起伏
たんぽぽやなずなの黄色い集落
ひともとの樹にすれあう光の葉から
蒼穹に消えたものたちの匂いがこぼれる

磨かれた石に透明な波を寄せながら
木々の間を川が流れる
堤防の小道にあらわれては消える影
倒れた道しるべが墓標のようにけむる

・・・この道を、この丘を、あの傾いた板を、太陽は激しく照らしていた。まだ明かすべき何かがあるかのように、無償の大地に見えない墓標が並んだ。風はゆるやかに高みに吹き、小砂利の敷き詰められた道は、廃屋の向こうへと曲がっていった・・・

太陽の周りに透明になる青空
真昼の一瞬、何もかもが静まり返る街
若い女が抱き上げた子犬は
高い建築の上にまぶたを開く

海辺に下りる白い階段
砂に埋もれる錆び付いた黒い傘
崖に無窮の波が打ち寄せ
岩間に小船の残骸が揺れ動く

・・・眠りから眠りへと日差しが移っていった。無数の面を持った宝石が回るように。肩を組んだ二人の少女が波打ち際で銀の光に包まれる。何かが訪れる予感が水平線を通り過ぎ、コンクリートの堤防に白い貝殻がカタカタと鳴り響いた・・・

森の奥の沼地に午後の風が吹く
水草たちが、葉面に粒状の時を揺らしている
枝のようにからみあう森の道
その上を夢見るように通り過ぎる獣たち

すべてを
透過するように
輝きわたる太陽の下に