箪笥


男は箪笥にひそんでいた
目覚めた少女はベッドから降りた
カーテンを開くと
夜明けにはまだ間があり
静かに星が瞬いていた

男はゆっくりと
掌に顔をうずめた
少女は星空を見上げ
肩まである髪が仄かに匂っていた
遠く水銀灯がひとつ浮かび
その向こうに黒い森がひろがっていた

男は声をころして泣いた
少女はかすかな気配にふりかえり
何かを思い出そうとするように
遠い目をして佇んだ

くるしいほどの静寂のなか
やがて少女は眠りについた・・・
窓からもれる
星たちのざわめきを聞きながら