青白い花


咽喉のなかに青白く咲く花は
ひとつの言葉を
絶えず沈黙に呼び戻す

白い小船が
蒼穹と海原の境界に消えていく
或いは、あれが・・・
そっと肩に手を乗せる誰かを
どうしても振り返ることができないのは
頬に残る一条の傷跡

起原を覆うために
はじまりを歌う儀式が
夕映えを浴びている

青白く花はふるえ
ひとつの言葉が
位相を変えた沈黙に移り
つかの間
誰かの肩に手を乗せたわたしが
影絵のように浮かびあがる

見上げうる高さを
見出せないままに
花は薄闇に沈んでいった