切断した蛇の首
山水の流れに踊る胴体
光る鎌を持って
それは
真夏の真昼のこと

背丈より高い草を分けて
時折意味もなく鎌を振り回し
貯水池へ
青緑に濁った
忘れられた場所へ

(アナタハオ忘レカモシレマセンガ、
アノ石油ショックノアト、
革命モヒモ同然ノ生活モ出来ナクナッタト首ヲ吊ッタ男ハ、
アノ辺リニテントヲ張ッテイタコトガアリマス)

(彼女ガ、
祭リノアトノ空虚ノナカデ、
線香花火ヲ見ツメテイタノハ
確カソコカラ町ニ続く細イ道ダッタネ)

迷い込んだ森
燃える陽光に撃たれたように
無数の蛇が枝から落ちてくる
殉教すらない道程に

鎌をふりまわして
もうひとり鎌をふりまわす誰かの気配とともに行く
森から出て、垂直の光りに焼かれると
繁茂する笹のなかに光る水面

三十年前と何も変わらない
その貯水池の上に
水鳥の羽ばたき、光りの水滴、そして
静寂