祭り


生暖かい灰白色の空から
黒々と降りそそぐ小鳥たち
農家の裏庭を子供が走りぬけ
南の空に祭りの気配が映る

地平は暗い翳に覆われ
闇を含んだ木々が空を見上げる
水田に響く蛙の声、盲いて揺れる草草
音もなく花火の巨大な輪がひろがる

町外れに寄り添う家々
暗い川を背にして
廃屋がこわれた窓を見開いている
その前に苦しげに花火を見上げるふたつの影

花火の最後の光が夜空に消え
子供たちの黒い眠り、肩を寄せ合うふたつの影
やがて闇に沈んだ孤独な地平に
異郷の歌のように雨が降りはじめる