自由


秋を宿しながら
降りしきる雨のなかに
追憶とためらいのなかに
微光がある

薄暗い
夕暮れの小学校
廊下に佇み
窓の外を見ていた
中庭を通る黄色い傘の下に
翌朝に死ぬ少女の微笑み

半透明の糸にからみつかれて
息もできない夜
二重三重に明滅する
記憶という名の亡霊たち
眠りは救いだろうか
それとも衰弱だろうか
闇のきざはしに
微光が見える

糸の織り成した
幸福と不幸の歴史が
雨の音に透明になる
傘の下
ふりかえる少女を
校舎の陰から
見つめるまなざし

決定権は
"あなた"にある