わたしと
わたしをとりまくもの
世界が火にかわる
互いに燃え移ろうと
伸び広がり、縮み
背景色のような
青のなかで

アフリカの原生林
一つの枝に目を閉じる
名も知らない鳥も
わたしのなかに
燃え移ろうとする
あるいはわたしが
火の指先を伸ばしている
そして、ここ
たぶん同じ場所の
別の時間
過去なのか未来なのか
ひとりの幼女が燃えている
世界を見つめ
世界に見つめ返された瞳
それだけが鮮やかな輪郭で

幼女は
わたしの方を向く
盲いたひとのように
ちいさな腕をのばして
わたしの背後へ
通り抜けていく
その軌跡だけが
重なり合う火のなかで
いつまでも、しんと
静まり返っている