死後


死の床にあったわたしは
未来の日記を書き続けていた
何を食べたか
天気はどうだったか
(誰ヲ愛シタカ)
ありもしない事を並べ
わたしは何にすがりつこうとしていたのか
明るいくもり硝子の向こうに
ひっそりと佇む人影
(君カ?)
いや
つくりあげた記録は
まさしくわたしの死後だったにちがいない

夢から覚めた時の
目を焼き尽くす白熱
ノックの音に起き上がり
わたしはドアを開いた
そこにだれが佇んでいたのか
どうしても思い出すことができない