再会(Long version)


あの銀色の川を
覚えていますか
冬の真昼の
盲目になるほどの光輝
いくつもの言い訳を
咽喉の奥で繰り返し
最後の言葉もなく
別れた日を

ええ、
忘れたことなどないわ
どんな訳があったのか
考えつくした後も
消え去らないあの光
こうして
齢を重ねれば
すべてちいさな躓きに過ぎなく見えるのに

十年という
この歳月を
一寸先に崖を見ながら
生きてきました
それでいて
日々は水のように過ぎ去り
あなたとの記憶も
別の誰かと繰り返し得たのに
あの冬の一日だけが
くるおしく
夜を貫いてきました

たとえあなたに
わたしの幸福を
報復のように差し出すことが出来たとしても
何の意味もないと
わかっていたの
幼い子供を抱いて
冬の川を見つめた時の
あのくるしいほどの恍惚がある限りは

あなたは立ち止まり
不意に振り返りました
逆光で見えないその顔
胸に抱かれた幼子の
閉じたまぶただけが
不思議に輝いていました
それは奇蹟だったのでしょうか
その後も
生き続けてきたことのほうが
はるかに奇蹟のような・・・

もしもこの光が
流れる川と雪の丘が
あの日とまったく同じで
それなのにわたしたちが
<再会>しているのだとしたら?

・・・ええ、
それでもあの日と同じように
何もわからないままに
わたしたちは別れていくのでしょう
もう二度と会うことがないとしても
終わることのない<再会>のなかに