日の暮れ
街は見知らぬものの夕暮れ
坂道をのぼると
翳りゆく蒼穹がひろがる
その時わたしは世界に呼ばれたのだ
死んだ子犬を抱いて歩み去った少女
彼女も聞かなかっただろうか
閉じた子犬のまぶたが仄かに浮かび
青々と地平がひろがる時に
崖の向こうに街の灯が赤々と燃える
あれはきっとひとつの予言なのだ
この世界がもうすぐ滅びるということの
見知らぬもののように
街は無数の吐息と喜びに満たされる
わたしは暗い蒼穹に奪われながら
遠ざかる彼女の姿を追いかける