光の場所


痕跡をたどって
朽ちた工場の壁沿いを歩いた
垂直にすべてを焼く夏の光
コンクリートの亀裂に萌えるオオバコの葉
痕跡の果ては空虚だと
輪を閉じるのは
永遠を表象するからくり
確かにまだ<それ>は生きている
いや系譜の裂け目から
よみがえり
別の路地に歩み去っていく
あの角の資材置き場を曲がれば
海がひろがるのだろうか
光の過剰に
砂漠のように白くなった海が
今は
かすかな声だけが
聞こえる