そして


そして
町を流れる小さな川の上に
古い木の橋
空は灰色
わたしは
自転車で走る
信号で
彼女とすれ違う
わたしに気付かない
彼女は川岸で
小鳥のようにうずくまり
小石を集めて積みはじめる
遠く
暗い空の下を
子供たちが走っていく
...これから、どうするの?
彼女は黙っている
どんな不幸よりもやさしく
小石がころがる
むかし凍えていた幼いわたしを
いつも誰かが見つめていた
あれは誰だったのだろう
彼女は
立ち上がる
不意にわたしを見つめる
その澄んだ瞳から涙が流れ落ちる