序章


光の痕跡が消える前に
あの秋のために
届かなかった手紙を探そう
草のまばらな荒れ地を
濡らす雨の向こうに
姿のない祈りがかすかに光る
これが狂おしい望みなら
それにふさわしく
さまよう手紙のほうへ
黒い廃線を走らせて
海へ向かおう
始源の炎を吹き消され
浮遊する粒子と化した海へ