ラスト・サンタクロース


深さが
さらにその深みへ
降りしきる雪のなかに
捨てられた一枚の手紙
この夜
何も贈るすべを知らない

過去の方角に
家が燃えている
窓に佇む
少年の影を見上げ
炎に開かれた
夜の沈黙にふるえるわたしがいる
燃えようとする靴下に
何かが贈られ
銀の鈴音だけが
響きわたる

わたしの
炭化した半身に
夜明けの光が差し
雪はいつのまにか
止んでいた
灰色の壁の前に
佇む人影
凍った白い顔に
少年のような微笑を浮かべて
彼はもう
帰るすべを知らない