夢のかたち


夢のかたちには
時間が欠けている
揺れる薄紫の花から
ひろがる海
見渡せない苦しみから
時間は息づきはじめる

雨の降る路地に
ころがる無数の水晶玉
振り向いてしまう半身に
ひとつの影が重なる
長い髪の夜に
ふたたび揺れはじめる花
しかし
もう閉じ込めたくない
たとえあなたを
失うことになるとしても

海鳴りは高まり
雨のなかに
転がりつづける水晶玉
盲目の指をひろげ
老いはじめた
あなたの頬をつつむ
透明に貫いてしまうことを
怖れ
ふるえながら