それから


森は灰色に溶けて
何処かに流されてしまった
道端に咲く白い花々
遠くから聞こえる川のせせらぎ

あなたは石段を静かな足取りでのぼる
林の向こうにかかる青くおおきな月
わたしのなかで誰かが死んでいく
あなたの黒い影がぼんやりとふりかえる

子供が膝をかかえて泣いている
それは許されないこと
窓の中に佇むわたしの顔
薄明には中世の死人のように青白く

あなたは林のなかで首をつる
音楽がまぼろしのように聞こえる真昼
わたしは人形の髪を梳かしましょうか?
あなたを弔い泣き叫びましょうか?

きっと目が覚めたらベッドは砂のなか
だからわたしの眠りを奪わないで
灰色に溶けた森の向こうへ
鉛色の川が静かに流れていく

それから・・・