波が砕ける
光の水滴がひろがる
砂に散らばるガラスの破片
わたしの傷ついた素足が血を流す
幼いあなたも駆け寄り
ちいさな足裏を傷つける

光を照り返す葉群れの下
ふたりの交わす沈黙の約束
ひまわりのなかを歩みさるのは
暗いまなざしの母
風がわたしのスカートをはためかせ
あなたは麦わら帽子を手で押さえて
まぶしげに空を見上げる

子犬はちいさな友達
涼しく翳る夕の道を
歌いながら歩いた
子犬が無言で息絶えた夜明け
泣きながら坂道をのぼり
わたしたちは世界に呼ばれた
雲を静かに溶かす
無限の青いまなざし

わたしたちは見つめあう
だれも入りこめないように
固く手を握り合う
星空の下、黒い川原を
狂った足取りで遠ざかる母
そして
わたしたちは眠る・・・
夢の中の赤い星が
ささやきかける予感のなかに