祭り


祭りの通りだけが冷たい光に満たされ
盲目の夜が寄り添う

温泉宿の脇に流れる黒い川
影の落葉樹の下
光の帯を見下ろしながら
追憶の指は薄れ
振り返る女の顔が灰色に浮かぶ

骨片が寄り添う気配
蛇の眠る草むらに
ひっそりと佇む影が
青白い指を伸ばす
腕を胸に押し付けて
あの通りへ
祭りの火を運ぼうか?
きみが角を曲がってから
どれくらいの歳月が経ったのだろう

誰もいない通り
裸電球の光のなかに
踊るふたつの影法師
わたしが抱くのは闇
青白い指に唇を押し付けて
冷たい喜びにふるえる