氷の夢


南の国の
怖いほど濃い
緑の森
すべてが
まるで結晶するように
わたしの前で
氷に覆われる

深夜の凍ったホームで
彼は北行きの列車に乗る
うなだれた老女たちのなかで
わたしが
何度首をふっても

それから
何年経ったのだろう
雨の降る暗い午後
彼は帰って来る
ひびのある鏡に映った
少し老いたわたしの背後に
長い叫びの後の沈黙のように
うなだれた姿で