光に溺れるように両手をおおきくふりまわした
水のようにあふれる光は確かに下から来ている
高い蒼穹しか見えない
指にあるのは一枚の紙片
彼女の最後の住所が
薄いインクで記されている
放そうとしても放れない
遠い世界にはためく旗のように
指先で揺れ続けた