審判


なんて透明な顔だろう
棚に並んだ古い本やレコードの前で微笑むあなたに
水商売ずれした疲れは何処にもなかった
黄ばんだ一枚の写真
水田の下で
すでに骨になっているなんて信じられない
殺して埋めたのはわたしのはずなのに
脅えているのは
あなたに似た少女
まるで守るかのように
彼女の証拠隠滅を手伝うわたしを
誰かが無言で見つめている

あの夏の
透明な光
午前十一時
あなたはスローモーションで倒れた・・・