見知らぬ昨日


遠くには鳥影
砂のなかの目覚め

波打ち際を歩み
子供のように歌う老女
鮮やかな夕日

これは見知らぬ昨日
閉じた売店の隅に
色褪せた雑誌が捨てられている

老女の白い着物は赤く染まり
見捨てられた夢のゆらめき

・・・ここは、何処ですか?・・・

そのまなざしは沈黙の空へ
黒い突堤にばらまかれた骨片が
海風にはこばれる

停留所には空白の時刻表
星の目覚める予感を追うように
低い歌声は
いつまでもやもうとしない