昨日 そして明日


空は緑がかった青、ふるえているふたつの星屑、
白い丘に佇みながら、あなたの瞳の奥を覗く

夜行列車が走る、窓から突き出した子供たちの顔、笑って空を見上 げる少年、見つめあう双子、淋しげに目を伏せた少女・・・祭りに にぎわう街へと走り去る

・・・あの中にはあなたがいる、鉄橋の下の小さな窓から、狭い青 空をみあげていたあなたが・・・
・・・あの中にはあなたもいるわ、薄明の海辺で、水平線にたちの ぼる炎をみつめていたあなたが・・・

何を探していたのだろう?まだ何かが待っているかのように、 銀の紙が無数に吊り下げられたくらい森、 不意にあらわれた海、炎をあげていた古い船

それは数千年も昔からの炎、凍てついた暖炉のなかや、死者を燃や す炉の中で、のっぺりとした顔を染めながら、かすかな仕草を燃や し、黒い塔を燃やし、唇を燃やし、傾いた部屋を燃やし・・・

昨日の終わりなき流れ、波のように微光を揺らめかせ、あなたの透 明な肌に夜明けがひろがる、そこに顔を埋めれば、あなたの恍惚と した顔は水のように消えてしまう

緑がかった青い光を目指して夜行列車が走る、窓から突き出した子 供たちの顔、笑って空を見上げる少年、見つめあう双子、淋しげに 目を伏せた少女・・・

そのなかにはきっとあなたがいる、わたしがいる、
そしてたぶん、静かに目を閉じたままの、
明日が