髪の匂い


それが間違いだと
言われる前に
男物の香水を
あなたの髪にふりかけた

隠された汚物が
雪の下から現れる
そんな春の光のなか
あなたの髪が揺れる

約束しないことが
約束だよ、と
いちばん納得できないのは
わたしなのに

あなたの髪の匂いに
違う明日を夢見る
わたしはひとりが似合うという
ひそかな安らぎに

それが間違いだと
言われる前に
掌を見つめ
あなたを見上げる・・・

眩しげなまなざしで
少し孤独に