自由


在りえない自由を
在りえないのに、と語りかけて
あなたを二重に飼い殺しにしてきたのか

夜明けの光りが
あなたのからだの奥からひろがり
わたしの頬を染める
剃り忘れた髭の感触が
虚空にただようような気がした

不意に
何かを思い出したように
微笑むあなたに
もしも自由があるとすれば

わたしはもう
ここにいてはいけない